今年七月十五日に予定される台湾与党、民進党の執行部である中央執行委員(中執委)・中央評議委員(中評委)の改選は、期限の六月十五日までに届け出た候補者数が議席数と同じ四十一で、同党の史上初めて無競争となることが決まった。同党関係者は、今年末の統一地方選挙を前に党の団結を優先したと説明している。


 総統府秘書長に就任した同党の重鎮、陳菊・元高雄市長が、周到な根回しで候補者を事前調整した。二年前の改選時、中執委の選挙で選ばれる最高執行部の中央常務委員(中常委)十人のうち最大派閥の新潮流派が三人を占め、中評委主任委員のポストも手に入れた。元行政院長の謝長廷氏(現・台北駐日経済文化代表処駐日代表)が率いる派閥は、中常委メンバーが史上初のゼロとなり、党内にしこりを残した。今回は陳秘書長と党秘書長洪耀福氏のあっせんで、新潮流派が中常委のポスト一つを投げ出すことに同意、各派閥が矛を納めた。


 陳菊氏は、党内の求心力低下に悩む蔡英文総統から三顧の礼で秘書長就任を請われ、格下ポストへの就任を周囲から強く反対されたが、押し切って就任した。陳氏の手腕は、蔡総統の期待通りといえそうだ。


ただ、同党史上初の無風選挙には批判も出ている。病気療養のため仮釈放中の陳水扁元総統はフェイスブックで、事実上、選挙権が奪われる上、選挙の透明性も残っているとして「民主主義の大後退」と強く批判した。


 陳元総統によれば、統一地方選挙で民進党の敗北はほぼ確実。「党内安定」を理由に異論を封じ、党主席・蔡英文総統の責任論を回避するための布石だと断じた。