2018年8月24日台 ニュースメディアの風伝媒によると、台湾ハイテク企業の職員が、技術を持って中国企業に転職する例が頻発しているため、台湾行政院がこのほど「敏感技術保護法」の制定に向け検討を始めました。(写真は風伝媒のキャプチャー)

 ハイテク業界からは「商売にならない」と反発が出ています。技術を外国に譲渡しようとすれば、事前の輸出許可だけで6カ月の時間がかかり、さらに相手国での実用新案や特許の承認も必要となるためです。もし法案が可決すれば、第5世代移動通信システム(5G)、モノのインターネット(IoT)、人工知能(AI)など、次世代技術の中核部分で競争力が失われてしまうと懸念しています。
 
 「敏感技術保護法」は、中国が発表した、台湾の企業・従業員に対する31項目の新たな優遇措置がきっかけ。技術流出の拡大を懸念し、行政院がまもなく法案の作成作業を始めました。

 このほど与党・民進党の王定宇立法委員(議員)が提出した法案によると、「敏感技術」の定義は行政院が随意に見直し、輸出先の国・地域も行政院が決め、公示します。また、「敏感技術」を無許可で輸出、公表したエンジニアは、7年以下の懲役と3000万元(約1億円)以下の罰金を課される厳しい内容となっています。

 専門家からは、上位法となる「国家機密法」の制定が先決との意見も出ています。国立交通大科学技術法律研究所の林志潔教授は「『敏感技術保護法』の個別法だけでは、適用範囲が広すぎて、実際には制定できない。まず上位法の国家安全法や国家機密法の制定が先だ」と話しています。

 台湾では、技術流出を防ぐため「営業機密法」が制定されています。2013年に改正され、従業員だけでなく会社も処罰する「両罰規定」を盛り込まれました。改正後、これまでに企業6社が処罰されています。
 
★参考情報★
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