2019年3月2日軍台湾の情報機関の元最高幹部が、中国の台湾系企業「台商」の中でも超親中国派の企業幹部に相次ぎ就任し、蔡英文政権の国防と情報部門が強く警戒している。(写真は風伝媒のキャプチャー)

 今年一月初め、中国本土と台湾で不動産開発会社などの事業を手掛ける沃華集団国際投資控股集団(沃華集団、江蘇省昆山市)トップの総裁に、台湾軍の情報機関である国防省参謀本部軍事情報局(軍情局)の劉本善元副局長が就任したことが分かった。

 沃華集団の事実上のオーナーの陳柏光理事主席は、中国の台商親睦団体「全国台湾同法投資企業聯誼会」(全国台企聯)の副主席を長年務めた。台湾の中台統一派政党の「台湾民族致公党」の主席にも就いており親中派として突出している。

 一方、劉元副局長は現役時代、長年、中国本土に対する情報工作の責任者を務めた。劉氏の中国情報分析には独特の見識が含まれ定評があった。軍情局を離任後も、多くの現役職員が劉氏を訪ねて教えを請うたという。ただ、現役時代の二〇〇九年、正規の手続きを経ずに情報を台湾政府の情報機関「国家安全局」に渡し処分を受けたことがある。

 劉氏は沃華集団の総裁就任について、メディアの取材に「総裁とは名前だけで、実質的な経営権はない」説明。「軍情局時代の職務内容はかなりセンシティブだった。既に制限期間は過ぎているが、終生中国本土に行くつもりはない」と釈明している。

 ただ、国家安全局は、劉氏が現在も軍情局職員と接触があることをつかんでおり、動向に注目している。

 台湾では昨年にも、超親中派「台商」の荘立平氏が設立したメディア「大師鏈」の要職に、国家安全局の楊国強元局長と郭崇信元副局長、国安局で総統・副総統の警護担当する「特種勤務指揮センター」の主任を務めた張戡平・元軍情局長を招き、政権を驚かせた。