2019年3月2日火台湾軍が十二月六日午前五時五十分、東部・台東県の海岸近くで対空ミサイルの発射とみられる訓練を突如行った。ミサイルはごう音とともに飛び立ち、照明弾のようなまばゆい光を放ちながら、薄明の空を約三十秒間飛行した。事前の通知はなく、大きな音と閃光(せんこう)が付近住民を叩き起こした。爆発事故を疑う住民もいたようだ。(写真は聯合報のキャプチャー)

 発射地点は森林地帯だが詳しい場所は秘密。周辺の道路では、事前に厳しい交通規制が行われた。開発を担当する国の兵器研究機関である国家中山科学研究院のスタッフは、ミサイルの種類などを一切の口をつぐんだ。これほど保秘が徹底した発射試験は近年はまれ。アナリストは、今回発射されたのは、同研究院が開発した地対空ミサイルの「天弓三型」か、米国製の「パトリオット3」のどちらかと推定している。

 中国軍は近年、艦艇と航空機に台湾本島を囲むように周回させる訓練を活発化させている。11月末の台湾の統一地方選挙中は一時下火になったが、既にミサイル駆逐艦「鄭州」が宮古海峡を通過するなど早くも訓練を再開した。情報収集機Tu154も飛来し、台湾海岸付近の電子通信を傍受したもようだ。台湾軍は、東部海域を中心に中国軍への警戒を強めており、六日のミサイル発射も中国軍へのけん制とみられる。

 「天弓三型」は台湾国産の新鋭兵器で、機動式の「フェイズド・アレイ・レーダー」を備え、三〇〇キロ以内にいる敵の距離、方位、高度が正確に把握できる。戦闘機、ドローン、ミサイルなどへの対抗が可能だ。

 台湾軍は現在、東部の宜蘭、花蓮、台東の三地区に「天弓三型」ミサイル部隊を配置。頻繁に試射も行っている。今後同ミサイルの部隊十二個、パトリオットの部隊九個を配置して、台湾本島と澎湖島に綿密なミサイル防衛網を構築する計画だ。