2019年7月03日朝台湾高雄地方裁判所はこのほど、国連の制裁決議に違反し北朝鮮に石油製品を輸出していたとして、高雄市の男に有罪判決を言い渡した。男は公海上のいわゆる「瀬取り」で、原油二万トンを売り渡していた。だがこれは氷山の一角に過ぎず、北朝鮮が制裁に違反して輸入する石油製品の八割が台湾経由であるとの見方もある。大規模な制裁破りが表沙汰になれば、台湾は国際金融取引から閉め出される恐れすらあり、金融業界は一部の不心得者に怒りをたぎらせている。(写真は風伝媒のキャプチャー)

 台湾政府筋は「北朝鮮との貿易禁止で、国際社会は一致しているが、もうかる商売だから危険を犯してもやる者がいる。台湾は中国に近い上、国際関係も良くない。北朝鮮からは貿易制限の突破口とみられている」と話す。

 台湾の一部商人は、北朝鮮同様に制裁対象国のイランとも取引している。消息筋によると、これら商人は地下ルートを通じてもうけを手に入れているが、既に国際機関に目をつけられている可能性が高いという。

 今年の国際金融界の最大の話題は、スタンダード・チャータード銀行が、米国の対イラン制裁に違反で罰金十億ドルを支払わされたこと。対イラン経済制裁は対北朝鮮よりもゆるく、金融取引が規制されているだけ。北朝鮮への石油製品販売が表沙汰になれば、信用の失墜の程度は、同行の比ではない。

 台湾・行政院(内閣)のマネーロンダリング取締室の係官は「台湾の貿易商が危ない橋を渡れば、台湾金融界の国際的な名声も地に落ちてしまう」と顔をしかめる。

 そして、いったん「核拡散防止上のリスク」が認定されると、失うのは名誉だけでない。国際金融機関が台湾で金融取引する際、金利などコストが大幅に上昇してしまい、台湾金融業界は国際取引ができず、「鎖国」の危機に直面するという。

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