2020年の台湾総統選挙の国民党の候補者予備選挙が15日行われ、韓国瑜・高雄市長が勝利しました。予備選は固定電話による世論調査の結果によるもので、韓候補の動員力が勝因とみられています。民進党には、現職の蔡英文総統の敵ではないとして、喜びが広がっているそうです。また、韓氏に反対する国民党支持者の票が狙えるため、柯文哲・台北市長が立候補を口にし始めました。台湾誌・新新聞(電子版)が伝えました。
国民党によると、総統予備選は、5つの世論調査機関により7月5日から14日に行われ、1万5189件の有効回答が集まりました。党外候補者との比較調査への回答を85%、党内候補者同士の比較調査への回答を15%それぞれ採用し、支持率を計算しました。台湾最大の通信キャリア、中華電信の固定電話の契約者だけが対象となりました。
この結果、韓国瑜氏が44.805%で首位、EMS(電子機器受託生産)世界最大手、鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘前董事長が27.73%で2位、朱立倫・前新北市長が17.9%で3位となり、韓市長が当選しました。党外候補者との比較で、韓国瑜市長の支持率は、蔡英文、柯文哲の両氏を30ポイント上回りました。
世論調査に詳しい国民党関係者によると、韓氏の支持率は通常は3割程度なのに、予備選では5割に迫りましたが、実力を反映するものではないそうです。熱狂的な支持者を持つ韓氏が、支持者を自宅の電話前に待機させていたことの結果だとみられるそうです。
韓国瑜候補は、国民党支持者の中でも、知識層と経済界に支持が広がっていないそうです。国民党支持者の中で、韓候補反対派が3割に上るとの調査結果もあります。若年層や無党派層の支持も得られていません。
国民党のベテラン立法委員(議員)は「韓国瑜候補は、わずか3割の韓ファンの支持と、国民党地方組織の動員力だけが頼り。行政経験が豊富で、米国の支持を受け、反中カードを切れる蔡英文総統に勝てるだろうか」と述べ、憂慮しています。
予備選挙の結果に対し、韓支持者は興奮、民進党支持者は喜び、柯市長は出馬をほのめかしました。国民党の反韓国瑜派と中間層の票が柯市長に向かう可能性があるためです。
台中市の国民党関係者は「蔡英文候補が庶民層の心を打つのは行政経験でなく、中国の一国二制度に反対しているためだ。香港の逃亡犯条例改正反対デモの効果で、昨年の統一地方選で国民党に投票した若者と中間層の票が、蔡候補に向かっている」と話しています。
★参考情報★
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●台湾総統選で国民党の郭、韓国瑜両候補が暗闘 中国は韓候補支持か
●韓国瑜氏の花蓮集会に15万人 総統選出馬を初めて公言
●テリー・ゴー候補、「馬前総統の操り人形」報道に激怒