井上雄介のたいわんブログ

ほぼ台湾の話題、時々中国…。

2012年04月

台湾軍の演習として最大規模で2年に1回行われる「漢光」が20日終わった。最終段階になり総指揮官の馬英九総統が突如、現場に現れ「反撃」を指令する一幕があり、かえって演習の邪魔をしたのではないかと疑問の声が上がっている。馬総統は20日朝8時ごろ、戦車部隊などが展開する新北市に国防部長らを率いて車で乗り付け、反撃を指令、わずか6分で立ち去った。 馬総統には、「漢光」への関心が薄いとの批判が出ており、「開戦」時にはアフリカ外遊中だった。それだけに、カメラを意識し、轟音をたてて進む戦車部隊を前にしての「反撃」指令になったと思われるが、もともと「反撃」は払暁攻撃だったが、総統の急きょ視察で開始時間が遅れてしまい、軍がマスコミに釈明する騒ぎとなった。 馬総統は「アフリカ出発前、高華柱国防部長から訓練計画の報告を受けており、外遊中も毎日の動きを把握している」と述べて、演習への強い関心を強調していた。 今回の演習は、軍最大規模のものだが、実弾不使用となった。国防部は、実弾使用の必要性は訓練の内容で決まるもので、無駄な使用を減らすことは政府の進める温室効果ガス排出削減にもつながるなどと説明している。 一連の流れを見ると、言い訳はどうあれ、馬総統は今回の演習に消極的だった。総統は米国からの武器購入も乗り気でないとされる。馬総統は演習に無関心なのではなく、考えは一貫している。中国を刺激したくないということだ。国民党の上層部の意図は、中国との統一を急がず現状を維持するということにあるらしい。中国の軍部を刺激しないよう、神経を使っているのだと推測される。しかし、中台関係の現状維持を目指すなら、米国の意向は無視できない。軍事消極主義は、中国は無論歓迎するだろうが、米国が納得するのだろうか。

台湾では「月光族から馬総統への手紙」という「阿嘉」を名乗る男のネットへの書き込みが共感を呼んでいる。阿嘉は南部の嘉義県出身で台北に暮らす。1日10時間も働くが、銀行預金は勤続年数に反比例して減少。月給3万台湾元(約8万3,000円)の支出の内訳を列挙した上で、「どんなに節約しても赤字になる。一体どうすればいいのか」と馬総統に問いかけている。 書き込みは約2カ月前だが、今だにネット上での転載が続き、マスメディアも広く取り上げた。月光族は、1カ月の給料を使い切る人々の意味だそうだ。 阿嘉は1日1箱のタバコを吸い、テイクアウトのコーヒーを飲み、1日3度も外食。アイフォーン(iPhone)を使い、カラオケを楽しみ、彼女にはプレゼントを欠かさない。郷里の両親にお年玉も贈ると、月額平均で4万元を超えるという。ネット上では「コーヒーはインスタントに変えよ」「服に1カ月1,500元は使いすぎ」などの批判も出た。でも今どきの若者の普通の暮らしであり、同情論の方が多い。 阿嘉は、映画「海角7号」の主人公の名。ミュージシャンを目指すも夢破れ、「台北なんてくそ食らえ」と叫ぶ冒頭のシーンが印象的だ。 台湾は貧富格差が拡大し、生活水準が二極化する「M型化」が進んでいる。阿嘉の書き込みが共感を呼ぶのは、貧しさよりも希望のなさではないか。今はそれなりの消費生活を楽しんでいるが、これから貧しくなる予感。あるいは未来が今よりよくはならないだろうというあきらめ。共有しているのは失望感ではないかと思う。

中華圏のお盆である清明節を前に、馬英九総統が台北市内の忠烈祠(英霊を祭る廟)で、中国西安にある黄帝陵を遥拝(ようはい)する儀式を行った。中華民国の父孫文でも、蒋介石元総統でもなく中華民族の共通の祖先である黄帝を祭ったことは、中国に対する意思表示とみられ、台湾で議論が起きている。 馬総統は、黒塗りの車で忠烈祠に乗り付けると、祭壇の前に直立。全員で国歌を斉唱するや儀式を始めた。忠烈祠は、国事に倒れた英霊を祭る場所だ。 儀じょう兵から渡された線香3本を顔の前に捧げ持ち、頭を深々と下げた。再び儀じょう兵から黄色い花輪を受け取り祭壇に捧げるなど、極めて厳かに行われた。馬総統が黄帝を祭る儀式を行ったのは2009年に続いて2回目だ。 野党民進党の議員は「黄帝陵参拝は中国が先に始めた。彼らの統一工作に同調するもの」と批判。国民党からは「先人を祭るのは誠に誠に当然のこと」と擁護している。 しかし、賛成論にせよ反対論にせよ、議論はあまり盛り上がっていない。メディアの報道はひややかで、市民も無関心だ。何しろ、実在しないとされる伝説上の皇帝を拝まれても、ピンとこないというところか。 馬総統は、少なくとも国家の公人として祭祀をする以上、なぜ黄帝なのかをもっと丁寧に国民に説明した方が良いと思う。 ◆◆◆ ところで中台統一は中華民族の大義という。これは中台の政治体制を乗り超えた上部に統一の大義があるという理屈だ。馬総統は、中華民族の一員として、その歴史に名を刻む願望があると思う。 しかし、中華民族とは何だろう。黄帝が中華民族のシンボルと心底そう思える中国人ないし台湾人がどれだけいるか疑問だ。まったく想像だが、馬総統は国民党の主席として、中華民国初期の中華民族思想を受け継いでいるのかも知れない。

台湾にある大手日系家電メーカーを取材。台湾の家電市場規模は日本の10分の1だそうだ。台湾の人口は5分の1。1人あたりGDPは半分。だけど家電市場は10分の1だと。「日本で頭で考えてもわからないんですよ」と、メーカーの責任者氏。きめ細やかな対応で売ってゆかないと、台湾という小さい市場では生き残れないのだという。日本のものをそのまま売ってもだめだ。 台北市民の生活ぶりは表面的には東京とまったく変わらない。市場というのは表面からは分からないところがあるということだろう。 逆に言うと、日本市場はなお、かなりでかいということ。責任者氏は「グローバル市場に出ろ、日本にとどまっていたら縮こまるだけというけど、日本というこれだけ大きな市場は、やはり放っておけまへんわ」と話していた。   アジア近隣諸国・1人あたりGDP (左) と1人当たりGDP 1人当たり購買力平価 (PPP)GDP(右) 台湾        21,592  37,932 韓国        23,749  31,754 日本        45,774  34,362 シンガポール  50,714  59,937 中国(上海)   5,184   8,394 単位:米ドル 出典:2日付経済日報

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