井上雄介のたいわんブログ

ほぼ台湾の話題、時々中国…。

2012年05月

台湾一番のお金持ちが入れ替わった。米フォーブス誌の台湾資産家ランキングで、食品会社、旺旺集団創業者の王衍生氏が2,400億台湾元(約6500億円)首位に浮上した。昨旺旺集団は50年前、日本からの技術導入で売り出した米菓「仙貝」(センベイと発音)が大当たり。中国に進出してさらに成功し、今ではメディア、ホテル、飲食、医療も営む企業集団に成長した。 第2位は頂新集団の魏応州兄弟。中国で康師傅 (カンシーフ)ブランドのインスタント・ラーメンで大成功した。昨年の4位から躍進した。一方、昨年のトップで、スマートフォンで知られるHTCを築いた王雪紅夫妻は8位に下落した。米アップルと韓国サムスン電子に挟撃され株などの資産が縮小したためという。 電子などハイテク企業が脚光を浴びる中、地味な伝統的製造業2社の躍進に台湾人も驚いている。価格を筆頭に変化が激しいハイテク業界に比べ、昔ながらの製造業の安定感が印象的だ。また、台湾にとって中国こそ成功の鍵であることが、改めて思い知らされた。

住まい周辺の話を書いたら、どんなところに住んでいるのかとお尋ねを頂いた。写真のような1間の部屋。トイレ・シャワー付き。家賃は日本円で月額2万6000円。東京でこの家賃だと3畳か4畳半のフロなしの部屋かもしれない。台北でのこのあたりのグレードは、東京でいうと台東区か。淡水河という川の近くで、日本時代以前から繁華であったと聞く。 4階建ての3階の1フロア。150平方メートルくらいの1室を板で仕切り、各部屋に水道を配管して個室にしたとみられる。最近の台湾でよくある1人暮らし用の物件。以前はマンションの1室を数人でシェアするケースが良くあったが、この家のような「独房」形式が増えている。 同じフロアの住人は、20~30代の若者で、大学生と勤め人。50がらみのおっさんは私1人で、ちょっと場違い感がある。ちなみに1階のバイク修理屋のおじさんは日本語教育世代。今日もカセットで「上海帰りのリル」を聞いてました。

住まいのある台北市大同区の民権西路北側の一帯は以前、大龍峒と呼ばれ、清朝の時代には文教地区で「十歩けば秀才、百歩歩けば挙人に当たる」と言われ、科挙の合格者を沢山輩出したそうだ。その名残りと思うが、今でも学習塾がやたらと多い。西隣の大稲テイ(テイ=土へんに呈)は同じ時代に商業地区で、現在も海産物や漢方薬材の問屋が軒を並べる。 1924年に孔子廟が再建された際は、真っ先に大龍峒が選ばれ、北の外れに今もある。市の施設としてきれいに管理されているが、いつも人影はまばら。外国人の観光客を見かけるぐらいだ。大成殿の正面には孔子の尊称が書いた大きな位牌が置かれるのみ。年に1回、孔子の聖誕祭が厳粛に行われるそうだ。 孔子廟に向かい合うのが保安宮。医学の神様、保生大帝を祀るお宮で1805年の創建で、こちらはいつもにぎやかだ。線香の煙が濛々と立ち込め、参拝者が引きもきらない。大帝のほか、別の神様のお堂も別々にあり、参拝者は自身がお願いする内容に従って神様を選ぶ。老若男女がそれぞれに一心不乱に祈りを捧げていた。孔子廟の安閑さとは対象的にみんな真剣そのものだ。 それぞれのお堂には、円筒形の灯明台があり、小さな灯明が無数に光っている。願いごとがかなうと、お礼として灯明を寄付するそうだ。日本の神社でもある習慣で、東京の下町生まれの我が祖母も、私が大学に合格したとき、お礼参りで小さな鳥居を浅草の神社に奉納していたのを思い出した。 孔子の教えは、学問により自己研鑽して君子になろうというもの。廟を拝んでもご利益はなく、君子になるぞと誓う以外にない。自助努力の世界だ。保安宮の方は、神頼み。孔子廟の閑散に比べ、保安宮の賑わい。小人にも救いの道が残されているのはうれしい。華人の文化の面白さを感じる。もっとも東京・湯島の聖堂と湯島天神の対照と似ていて、いずこも同じというべきか。あるいは、神社が実は道教だという説が正しいのか。

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