井上雄介のたいわんブログ

ほぼ台湾の話題、時々中国…。

2012年06月

昇給がないのに物価が上がるから、困窮する人が増えている。名づけて「新貧族」。近年、新たに貧困層入りした人々だ。台北市のある会社員(33)は、月給2万台湾元(約54,000円)。車も家もあるから一見よさそうだが、住宅ローンと生活費に給料は全部消え、借金なしでは生活が回らない。妻の内職も月額3,000元で焼け石に水だ。 最近の物価上昇が「新貧族」に追い討ちをかける。中産階級が分解して、大多数が貧困化しつつあるとの指摘もあるが、誇張とは思えない。実際に台湾庶民の暮らしはつましい。 グローバル化をおう歌する一部の産業と、恩恵にあずかれない大多数の庶民。世界と同様のことが台湾でも起きている。経済規模が小さい分、進行が早いのだろう。台湾人の賃金が中国沿岸部の都市の労働者と同じぐらいになってしまうのではないか。 このあたり台湾最大野党の民進党は目ざとく、最近、階級闘争みたいなことを言い出している。民進党が、かつて国民党独裁時代に掲げていた民主化などの政治目標は、台湾独立以外ほぼすべて実現されてしまった。生き残りを左翼政党のような要求の中に見出しているふしがある。だが国民党を批判したり、台湾の資産家を攻撃しても、この問題は解決しない。

台北大橋のたもとに床屋を見つけて飛び込んだ。家の近所は美容院ばかり。女性に混じって頭を刈られるのは居心地が悪いし、何よりひげそりがない。その店は初老の白衣の2人が切り盛りしていた。 伸びた丸刈りを指して「山本頭にするか」と聞く。五十六提督に因み坊主頭を台湾ではそう呼ぶ。うなずくとバリカンを取り出し手際よく刈り始めた。待望のひげそりは、白い大きなシェービングカップで石けんを泡立て、ブラシで塗りたくる。そりあとはローションではなく、メンソレータムをぺたぺたやる。 すべてが済んで椅子から立つと、さっとタバコの箱が出された。どれもふた昔前の日本の床屋の流儀。「謝謝」の声を背に、煙をくゆらせながらゆったり店を出た。湯上がりのような爽快さは床屋ならでは。次回は「日本平頭」(角刈り)にしようと思う。

↑このページのトップヘ