井上雄介のたいわんブログ

ほぼ台湾の話題、時々中国…。

2017年08月

大行進 台北市で行われていた第29回ユニバーシアード夏季大会が30日閉幕し、台湾の選手団とスタッフ約200人が31日、台北市内でパレード「台湾英雄大行進」を行いました。上報などが31日伝えました。(写真は上報のキャプチャー)

 教育部と台北市が主催したもので、沿道には市民多数が駆けつけ声援を送りました。選手だけでなく、コーチ、医師団、救護スタッフらも招かれ、ともに声援を浴びました。

 聯合報によると、選手団を載せた車列は台北市中心部の総統府前の「凱達格蘭大道」を出発。繁華街の忠孝東路などを通り、台北市政府前広場に到着しました。

 広場では台北市の柯文哲市長、林徳福・教育部体育署長が一行を迎えました。続いて陸上のやり投げで金メダルの鄭兆村、重量挙げで金メダルの郭◆淳(◆は女の右に幸)の両選手が選手団を代表してあいさつしました。

 鄭選手は「国民が努力して主催国の有利さを発揮してくれた。私は手を離れたやり。未来にどんな逆風が吹いても、最も高くまで、遠くまで飛んでいきたい」などと語り、会場から歓声を浴びました。

 郭選手は「台湾のために金メダルを奪い、自分の土地で世界記録を打ち破ったことをみなさんに見てもらえて嬉しい」などとと語った上、ボランティアを含む関係者の努力と、観客の応援に感謝の言葉を述べました。

 今回の夏季大会で台湾選手団が獲得したメダルは金26、銀34、銅30の計90個で過去最高となりました。期間中の観客は延べ70万人に上りました。

 日本オリンピック委員会によると、日本選手団は金メダル37個を獲得。銀メダル27、銅メダル37と合わせて計101個となりメダル獲得ランキングで夏季大会で初めて1位となりました。

開幕式妨害事件、台北警察のトップの首つながる

 8月19日の開幕式の際、蔡英文政権が進める年金制度改革に反対する元公務員、軍人らの団体メンバー約200人が会場入口近くで警察と衝突。選手団の入場を一時妨害する騒ぎが起き、多くの市民の怒りを買いました。

 パレードに参加した柯市長は事件について「国家安全局、憲兵隊、内政部警政署、台北市警察局が一緒になって、治安システム全般について反省するべき。誰の誤りだったかを言う必要はない」と総括しました。この一言で、邱豊光・台北市警察局長の首を免れたということです。

台聯・社民党 2018年の地方選挙を前に、弱小野党の社会民主党が台湾団結聯盟(台聯)と連携に向け接触を始めました。社会民主党は、緑党など他の小政党との連携も模索しています。台湾が徴兵制から志願兵に移行する中、台聯が「徴兵制」の継続を主張、社会民主党も、軍隊の文化が変わることを前提に国民皆兵を主張し注目を集めています。風伝媒が伝えたました。(写真は風伝媒のキャプチャー)

 社民党の代表の范雲氏は、台聯だけでなく2016年の国政選で同じ候補者を推薦したことのある緑党、第3勢力と呼ばれる有力野党の時代力量も協力の対象になると話しています。

 台聯の前立法委員の周倪安氏によると、地方選挙は1つの選挙区で複数当選者が出る制度のため、小政党も選挙協力すれば当選者を出せるそうです。社民党は首都圏の新北、台北の両市で若者の支持者が多く、台聯は中・南部で強いため互いに補い合えそうです。

台聯は女性含む徴兵制主張

 徴兵制の問題で台聯は、敵意を持つ隣国の中国に対し、志願兵制は安全保障の必要を満たせないとしています。また、徴兵制を復活する場合、女性も対象として排除するべきでないとしています。

 社民党の范氏も志願兵制は階級問題に絡むとして反対です。兵役は公民の義務なのに、志願兵制だと資産のない人が就く傾向があり、社会民主主義の理念に反します。范氏も、中台関係が厳しいため、完全な志願兵制は安全保障の必要に合わないとしています。
 
 ただ、范氏は「洪仲丘事件」(2013年7月、台湾陸軍で懲罰をきっかけに下士官が死亡した事件)などが再発しないよう軍隊を改革して国民の信頼を取り戻すことが先決だと指摘しました。また、女性を含む国民皆兵も検討に値するとしています。

 范氏の主張をみると、リベラリズムと国民皆兵の主張が一貫しています。日本でもリベラリズムの論客、井上達夫・東京大教授が「軍事力を無責任に濫用しないため、自分たちに課すシバリとして」、軍事力を持つ選択をした場合は、無差別公平な徴兵制にするべきだと主張しています。

 国家に責任を持つリベラル。台湾の社民党はレーニン主義的な国家観ではないうようで、信頼できる野党だなと筆者は思います。

林全氏28日 林全行政院長(首相)は、台湾紙・自由時報の単独取材に応じ、産業界への電力供給を保証するため、電力不足が予想される場合には、最後の手段として現在停止中の第2原子力発電所の再稼働を行う考えを示しました。(写真は自由時報のキャプチャー)
 
 林院長によると、過去の経験からみて、供給予備率は7.2%以上あれば電力需要のピークに対応できます。和平火力発電級の発電所が2カ所、あるいは第2原発の複数の発電設備が同時に運転を停止しないかぎり、この供給予備率を維持できます。
 実は昨年、政府は昨年5月、夏の電力危機に備え停止中の第1原発の運転再開を準備していましたが、市民は同意しないばかりか、第2原発の凍結も求め立法院も同調したため、原発の1基分の発電容量0.9ギガワット(GW)の不足が生じたということです。

 林院長によると、原発運転ゼロを前提に生活の質や安全性を考慮し、2025年までに電源構成比を石炭火力発電所は30%に引き下げる一方、天然ガスを50%、自然エネルギーを20%に引き上げことを目指しています。林院長は「目標達成の難度は高いが、達成がむりというものではない」と述べました。

 林院長は「非核の家に向けて進む途中、発電所の新設には数年がかかる。現在建設中の発電所も事前に完成は難しい。転換期の苦労というものだ」と話しています。

 天孫降臨 時事通信社の北京支局長、上海支局長などを務めた、信太謙三(しだ・けんぞう)さんが初めての小説を出版しました。「天孫降臨 日本縄文書紀」(花伝社・価格1500円+税)です。
 
 IT技術の発展、インターネットの普及、人とモノの流れの拡大などによって、地球規模での国際化が急速に進んでいます。もちろん、日本も例外でありません。しかし、この大きな潮流に逆らうように、特定の民族などに対するヘイトスピーチも起きています。
 
 しかし、歴史を振り返ってみれば、古代日本には多様性がありました。中国大陸や朝鮮半島、東南アジアやロシア極東地域、南太平洋などから、さまざまな人たちが日本列島に移り住み、国家としての基礎を作り上げていきました。
 
 本著は日本で稲作が始まったとされる今から2300年前の縄文晩期を舞台にしたエンタメ小説です。
 
日本列島の先住民である倭人の娘と中国大陸の戦乱から逃れた華人の息子との間に生まれた巫女ポポが、朝鮮渡来人の血も引く甥のタケと共に、チクシ(筑紫)支配を狙う半島のカラ国や稲作のために倭人から土地を奪おうとする半島からの渡来人と戦いながら、日本で初めての国を造り上げていくという物語です。
 
 古代船での大航海あり、脱獄あり、大海戦あり。男女の悲しい恋もあって、決して読者を飽きさせません。フィクションと言いながら、当時の日本の国際化の状況を、綿密な歴史研究に基づき、まるで映画のようにみせてくれます。元記者の習性として「ほう」と読者を驚かせるような、多くの人が知らない事実を随所に盛り込んだそうです。
 
信太さん顔写真 著者(写真)は時事通信社で北京と上海の支局長を務めたジャーナリストで、東洋大学で10年間教鞭をとりました。信太さんは「日本という国がいったいどういう国で、日本人がどういう民族なのか、この物語を楽しみつつ、考えてもらえばありがたい」と語っています。






北京特派員 (平凡社新書)
信太 謙三
平凡社
1999-07

巨竜のかたち―甦る大中華の遺伝子
信太 謙三
時事通信出版局
2008-05


台湾軍事力配置図 中国の民間軍事研究機関「知遠戦略防務研究所」がこのほど、台湾の軍事力の配置を極めて詳細に描いた地図を販売しました。部隊の配置、ミサイルの射程、防空の範囲など詳細を極めています。聯合報などが25日伝えました。(写真は同研究所のサイトより)
 
 台湾国防部の陳中吉報道官は「地図の内容はすべて、公開資料から収集したもの」とした上、台湾軍の保秘はしっかり行われていることを強調しました。一方、地図の内容の真偽について国防部は確認を避けました。
 
 地図は台湾陸軍の3大軍団、3大指揮部、ミサイル指揮部のほか、海軍、空軍の基地所在地、編成、兵力などが細かく記されています。さらに「台湾地対地ミサイルのカバー範囲」、「台湾の海洋センサーインフラ、防空・ミサイル防衛システム」「台湾防空ミサイルと天剣ミサイルのカバー範囲」などの図も添えられています。

 聯合報の取材に対し、同研究所は地図の情報源について「公開の情報とルートから入手した」と述べました。

台湾軍の把握情報が少ないことこそ問題

日本軍事力配置 自由時報によると、台湾海軍士官学校元教官の呂礼詩氏は「戦争となれば画像情報だけでなく部隊の動態情報も必要となる。軍事力配置の地図に大騒ぎする必要はない。ただ、中国がわが方の部署を正確に把握しているのに対し、台湾軍部の情報収集の成果に限りがある。このことを憂慮するべきだ」と話しています。(日本軍事力の配置図もあります=左の写真=。同研究所サイトより)

 地図は同研究所のサイトから無料でダウンロードできるほか、大型の印刷版も3000人民元(約5万円)で売っているとのことです。

 同研究所は2001年「米国軍事サイト」として発足し、2008ねに研究所に改組。13年4月に設立許可を得ました。本部は江蘇省江陰市。北京にも支部があります。

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