2019年10月27日米 米国による台湾への兵器売却で本命となる「F16∨」戦闘機六十六機について、トランプ政権が八月にも許可する可能性が強まり、台湾国防省が関連法案と次年度予算案での要求に向け準備を始めた。(写真は風伝媒のキャプチャー)

 台湾に売却される米国製兵器の中で、先に決定した戦車と異なり、中国はF16∨を「レッドライン」(越えてはならない一線)と表現しており、米政権が許可すれば猛反発は必至。トランプ政権の台湾支援の本気度を図る試金石でもある。実現すれば米国の後ろ盾を誇示でき、二〇二〇年の総統再選を目指す蔡英文総統にとって追い風となる。

 台湾空軍は現在、一九九〇年に就役した、旧タイプのF16、フランス製のミラージュ二〇〇〇、米国の支援で台湾が開発した「IDF経国号」の三種類の戦闘機を防空の主力としている。中国軍が空中の戦力を増強する中、台湾側の劣勢が目立ち始めた。

 F16∨ は、最先端の第五世代戦闘機に近い。アクティブ・フェーズドアレイ(AESA)を搭載して作戦可能空域が大幅に拡大し、ステルス性も向上した。滑空式空対地誘導弾や対レーダーミサイルを搭載し、遠距離攻撃が可能になる。最近、台湾周辺の海空域で軍事演習を繰り返す中国軍に対し、抑止力の大幅な向上が見込める。

 米タイム誌はこのほど、米国がF16∨売却を延期したと報じたが、台湾軍筋は「すべては順調に進んでいる」と述べた。米側が提示した値段は約二五〇〇億台湾元(八七〇〇億円)。台湾国防省は既に、行政院(内閣)の内諾を得ているという。

 台湾国防省は、現有のF16百四十機をF16∨にアップグレードする計画も進めている。新たに購入する六十六機を加えると、台湾空軍は世界最大のF16保有国となる。

★参考情報★
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