2020年1月17日米 一月十一日の台湾総統選挙と立法院(議会)議員選挙で、米国の対台湾交流窓口である米国在台協会(AIT)が与党・民進党に公然と肩入れするなど、露骨な選挙干渉を始め、台湾政界を驚かせている。(写真は風伝媒のキャプチャー)

 AITは十一月末、フェイスブックの公式ページに「中国が、太平洋の島々で行った活動の観察をいっしょに見てみよう」の説明付きで、豪州テレビ局の報道番組「60ミニッツ」のユーチューブ・チャンネルへのリンクを貼り付けた。

 リンク先のページには、他の番組とともに、豪州に亡命した自称・中国のスパイ、王立強氏へのインタビュー番組が載っている。王氏はここで、中国が二〇一八年末の台湾統一地方選挙に介入し、韓国瑜氏を当選させるため資金援助を行っていたことを暴露。欧米の主要メディアがこぞって転載した。

 韓高雄市長は、来年の総統選で野党・国民党の公認候補。AITは、アカウントから王立強氏の番組に直接リンクを貼った訳ではないが、総統選間近な微妙な時期だけに、AITが民進党支持を鮮明にしたもの受け取られ、国民党を仰天させた。

 各種世論調査で、現職の蔡英文総統が大幅なリードを維持する中、AITがことさら民進党を支持し始めたのは、実は韓国瑜候補の劣勢はさほどでなく、蔡候補の優勢も盤石でないとの楽観的な憶測も国民党内から出ている。

 だが、米国の動向に詳しい馬英九政権の元幹部によると、米国の狙いはもはや立法院選挙だ。米国は、香港区議会選挙で民主派が大勝し親中派の全滅したのをみて、選挙方式が同じ台湾立法院でも再現したいと強く願うようになった。民進党が辛うじて過半数に手が届くというような勝利でなく、国民党の議席を三十以下に減らし、台湾の親中派勢力を一挙に極少数派に転落するような完勝を夢見ているそうだ。

 元幹部によると、米中が全面対決する世界情勢下、米国は台湾に親中政権が誕生することを絶対に容認しない。馬英九前総統や韓国瑜候補が掲げるような、親米だが中国とも協調する温和路線すらも早だめ。トランプ政権は、台湾が選ぶ道は「米国一辺倒」しかないと考えているという。

★参考情報★
ーーーーーーーーー
韓国瑜氏の花蓮集会に15万人 総統選出馬を初めて公言