海外に拠点を置く中国語ニュースサイトの博聞社によると、抗日戦争を士官として戦った、中華民国国軍「一級上将」で元行政院長(首相)のカク(カク=赤におおざと)伯村氏(97)が9月23日、米ニューヨークで開かれた抗日戦争をテーマとしたセミナーで、国軍の抗戦の歴史を回顧する講演を行い、現地の華僑を中心とする聴衆から喝采を浴びました。



 



 ところが、続いて講演した中国本土の専門家が、抗日戦争で中国共産党が抵抗で中核的な役割を果たした述べたところ、高齢の元国軍軍人らが「恥を知れ」と激しくののししり、さながら国共の舌戦となる一幕がありました。




 カク氏は、国軍が8年間にわたり、日本軍に抵抗して戦った屍山血河の歴史に対する総括を情感たっぷりに話すと、会場は感動に包まれました。「国軍の戦いは、一つの党派のためでなく、全中華のための戦いだった」などと述べたくだりでは、聴衆から歓声と盛んな拍手が湧き上がりました。



 



 カク氏は「抗戦の歴史がなかったら、中国共産党に内戦で敗れることはなかったろう」などと話すと、拍手はひときわ大きくなりました。
 
 続いて、中国本土の広州華南師範大学の左双文教授の論文を、中国政府系とみられている団体「ニューヨーク和平統一促進会」の焦聖安会長がが代読しました。



 



 焦会長が「中国共産党が『生存は抗日』の観点を持っていた」と読み上げると、聴衆からブーイングが起きました。抗日戦争中、中国共産党が積極的に日本軍と戦わず、国民党との戦いに備えて兵力を温存したと、国民党側からは見られているためです。



 



 さらに「中国共産党が抵抗の中核で、蒋介石は『抗日せず本当は反共だった』と述べると、怒鳴り声や床を踏み鳴らす音が上がり、代読が終わっても抗議の声が止まりませんでした。



 



 焦会長はしばしば代読を中断、「言論の自由を主張するなら、異なる意見に耳を傾けよ」などと怒り出す一幕もありました。




(参考)http://bowenpress.com/news/bowen_131094.html




 中国共産党の抗日戦争観に対する、国民党側の反発がこれほど強いものだというのは驚きでした。



 



 カク氏ら国軍や国民党の長老の中には、台湾では過渡の親中国派とみられる人々が少なくありません。しかし、親中国共産党という訳ではないようで、特に自分たちが血を流して戦った歴史をねじまげることだけは絶対に許せないようです。



 



 中国共産党にとっても、抗日戦争観は統治正当性の根拠ですから、変えることはありえません。「国民党も抗日戦で貢献した」というのがせいぜいで、国民党が抵抗の中核だったとは口が裂けても言えないはずです。



 



 中国が台湾統一を平和的に実現しようと思うなら、親中国派の国軍長老らはは最強の助っ人になるはずなのに、抗日戦争に対する見方を変えない限り、心をつかむことはできないと思います。