デジタル産業の振興などを柱とする蔡英文政権の「新経済政策」について、ファウンドリー(半導体の受託製造企業)世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の張忠謀董事長(会長)が24日、林全行政院長(首相)を招いて行われた経済団体の朝食会で、「半導体産業を軽視するな」などと強く反発しました。中国時報などが伝えました。(写真は、25日付中国時報のキャプチャー画面)



 



 張董事長は「イノベーションと所得分配は両立しない」とも述べ、経済成長より所得分配に重きを置いているとして、現政権を批判しました。



 



 蔡政権は、経済政策を語る際、「イノベーション、雇用、所得分配」を真っ先に取り上げます。張董事長は「経済成長がなければ、雇用も所得分配も解決できない」と指摘。さらに「イノベーションと所得分配は両立しない。イノベーションは、実は所得分配を妨げる元凶ともなる」と述べました。



 



 蔡政権は、デジタル産業、バイオテクノロジー・医療、グリーエネルギー、スマートマシン、防衛・宇宙の5分野に新型農業、循環型経済を加えた「5プラス2」産業を振興し、「デジタル国家、イノベーション経済」を建設することを経済政策の柱にしています。



 



 張董事長は、「5プラス2」産業政策について「とても良い政策だが、半導体を含む現有の伝統的産業も忘れないでほしい。新産業の振興が成功しても、伝統的産業衰退の損失を穴埋めすることができない」と語りました。



 



 林院長は「半導体は、一貫して経済成長の原動力であり、忘れることはありえない」と反論しています。



 



 台湾経済の屋台骨であるTSMC董事長の発言は波紋を広げています。風伝媒によると、李世今経済相も26日、「半導体は5プラス2産業政策にとっても重要。政府も重視しない訳ではない」と釈明しました。



 



(参考)http://www.chinatimes.com/newspapers/20161025000019-260202