元総統府顧問で、台湾独立運動家で知られる辜寛敏氏(90)は29日、台北市で開かれたケタガラン基金会主催のセミナーで講演し、台湾と中国本土が1992年、「1つの中国の原則」に関し口頭で達成したとされる「92コンセンサス」について、当時、対中交渉の責任者だった異母兄の故・辜振甫氏が、存在を否定していたとのエピソードを明かしました。民報が29日伝えました。(写真は、台湾蘋果日報のキャプチャー画面)
 
 辜振甫氏は、台湾の対中国交流窓口機関、海峡交流基金会(海基会)の初代理事長で、1993年にシンガポールで、中国の対台湾交流窓口機関、海峡両岸関係協会の汪道涵会長(当時)とシンガポールで初の中台トップ会談を実現しました。



 



 辜寛敏氏は、辜振甫氏の生前、「92コンセンサス」とは、何についてのコンセンサスか」と尋ねたことがあるそうです。すると辜振甫氏は「『1つの中国の中身についてそれぞれ(中台)が述べ合う』なんていうのは、つまりコンセンサスがないということだ。お前はバカな子だ」と罵られたということです。



 



 辜寛敏によると、1992年の中台交渉について最もよく知るのは、当時総統だった李登輝氏、次に辜振甫氏、3人目は蔡英文総統だそうです。そして蔡総統は、中国との関係を考えて、「1992年に両岸(中台)に双方が会談した歴史的事実は尊重する」と述べるだけで、敢えて中身については語らないのだとの見方を示しました。



 



 蔡総統は、合意文書がないことなどを理由に、「92コンセンサス」が存在しないと主張していますが、中国側は存在を認めることが中台交流再開の前提としています。



 



(参考)http://www.peoplenews.tw/news/d95eaa66-fa9d-4819-95e9-dc7a1f405cf3