太平洋側北部の宜蘭県太平山にあった森林鉄道が、30年ぶりに復活することが決まった。同山は日本統治時代に台湾3大林場の1つとなり、木材搬出のため1913年に鉄道が開通した。小ぶりの蒸気機関車が客車もけん引して36キロを走り、通勤通学の足としても長く愛された。 車窓の景色は水田、渓谷、森林と次々と移ろい、うっとりするような眺め。地元民は「仙境にいるような気分だった」と語る。一時は特急列車も運転されたこともある。 しかし、78年の台風で被害を受け翌年廃止が決まった。地元民は「親を亡くしたように涙を流した」という。 地元高校の元教師黄瑞疆さん(58歳)は、子どものことから同鉄道のファン。小学生時代、いたずら線路の「ポイント」を触ったところ駅長に耳をつかまれて連行され、2,3時間説教を受けた記憶もある。 鉄道の復活を夢見て、数年前から署名活動や陳情を熱心に続けた。廃止の際、兵役で地元にいなかったため鉄道の最期を見とれなかったことが長く心残りだった。ある企業の協賛を得て3.5キロだけ復活が決まった。 黄さんは、太平山森林鉄道ゆかりの品々を収集し自宅に保管してある。硬い紙製の乗車券、昔の駅長の制服制帽など貴重なものばかり。しかし、鉄道が復活した後は、全部寄贈するつもりだ。 地元民は「もう1度乗ってみたい」と大喜びだ。また、風光明媚な土地だけに、嘉義県の阿里山森林鉄道並みの観光の目玉になる可能性が高いとして地元の期待も高まっている。