台北の有名書店で。国民党政権と台湾人が争った二・二八事件の顛末を詳しく書いている。台湾人側がみな美男美女、国民党側は全員が悪党づらなのは笑ってしまう。 漫画の内容が事実なら、二二八事件は治安事件の域をはるかに超え、旧宗主国と武装した旧植民地人との内戦だったこと分かる。本書では、日本の終戦直後の武装解除前、台湾にいた日本の一部軍人が、台湾人の代表に独立を勧める場面が出てくる。武器も台湾人に引き渡すと申し向けるのだが、最後の台湾総督が「軽挙妄動は慎め」と叱り、実現しなかったようだ。 戦後のインドネシアなどで起きたことと似ているが、台湾では旧宗主国側が圧勝して独立戦争は失敗し、旧植民地人を徹底弾圧したことは大分異なる。 中華民国の統治に反発する台湾側の一部が当時の米国領事に送った嘆願書は、「台湾人は確かに中国人と血縁にある。しかし、日本文化と学術により50年の薫陶を受けた」ので能力があり、自治を認めるよう切々と訴えている。 本書を読むと、二二八事件の背後には「台湾人とはなにか」という自己認識の問題が横たわっていることに気付く。祖国と思っていた中華民国の統治を受けてみたら、何かが違う。もちろん日本人でもない。自分たちは台湾人なのだという意識の高まりが、激しい抵抗の下地として潜んでいるようなのだ。 先の台湾総統選でも、台湾の自治への願望はなお根強いことが分かる。本書が出版されて書店に平積みになることも、それを裏付ける。台湾人は一度も本当の自治を体験しないまま、中国に取り込まれて行ってしまうのか。それとも台湾人た台湾を統治するという、当然といえば当然の時代がいつかは訪れるのか。正義は実現するものと信じたい。