台湾軍の演習として最大規模で2年に1回行われる「漢光」が20日終わった。最終段階になり総指揮官の馬英九総統が突如、現場に現れ「反撃」を指令する一幕があり、かえって演習の邪魔をしたのではないかと疑問の声が上がっている。馬総統は20日朝8時ごろ、戦車部隊などが展開する新北市に国防部長らを率いて車で乗り付け、反撃を指令、わずか6分で立ち去った。 馬総統には、「漢光」への関心が薄いとの批判が出ており、「開戦」時にはアフリカ外遊中だった。それだけに、カメラを意識し、轟音をたてて進む戦車部隊を前にしての「反撃」指令になったと思われるが、もともと「反撃」は払暁攻撃だったが、総統の急きょ視察で開始時間が遅れてしまい、軍がマスコミに釈明する騒ぎとなった。 馬総統は「アフリカ出発前、高華柱国防部長から訓練計画の報告を受けており、外遊中も毎日の動きを把握している」と述べて、演習への強い関心を強調していた。 今回の演習は、軍最大規模のものだが、実弾不使用となった。国防部は、実弾使用の必要性は訓練の内容で決まるもので、無駄な使用を減らすことは政府の進める温室効果ガス排出削減にもつながるなどと説明している。 一連の流れを見ると、言い訳はどうあれ、馬総統は今回の演習に消極的だった。総統は米国からの武器購入も乗り気でないとされる。馬総統は演習に無関心なのではなく、考えは一貫している。中国を刺激したくないということだ。国民党の上層部の意図は、中国との統一を急がず現状を維持するということにあるらしい。中国の軍部を刺激しないよう、神経を使っているのだと推測される。しかし、中台関係の現状維持を目指すなら、米国の意向は無視できない。軍事消極主義は、中国は無論歓迎するだろうが、米国が納得するのだろうか。