蒋経国時代以来のベテラン政治家、宋楚瑜・親民党主席(70)夫人の陳万水さんが27日、台北市内の病院72歳で亡くなった。宋主席が2006年に台北市長選に立候補したころ大腸ガンと診断され6年間も闘病を続けた。12年1月の総統選でも痩せた病身で街頭に立ち、夫への支持を訴えた。 選挙は想像以上に過酷な戦いで、家族全員が私生活を犠牲にした総力戦となる。中でも夫人の活躍は当落を左右するほど決定的だ。宋主席は当初は若手の有望政治家だったが、3度の総統選と市長選に失敗した。陳夫人は、報われない選挙戦を毎回全力で支えたが、よほどの愛情がなければ続かない。 2人の関係は45年前の米国留学中、苦学生だった宋主席に、陳夫人がアルバイトを紹介した時に始まる。宋主席の心の穴は大きかろう。台湾政界の重鎮も、遂に引退の時を迎えるのかもしれない。