2020年7月20日澎 中国軍の台湾侵攻は、澎湖諸島を攻略できない限り失敗すると指摘する記事を、米国のベテラン軍事ジャーナリスト、デイビット・アックス氏が、フォーブス誌(電子版)に寄せた。(写真はNewtalkのキャプチャー)

 中国は台湾への軍事侵攻の可能性を隠していない。台湾独立志向の蔡英文総統が今年一月の選挙で再選を決めた際、中国軍は、台湾の地図に見入る兵士の写真をこれ見よがしにリークした。

 中国軍が、台湾に侵攻する場合、北部の港湾を攻略して、いきなり首都・台北に侵攻する可能性もある。しかし、米シンクタンク「プロジェクト2049研究所」研究員、イアン・イーストン氏が二〇一八年の著書「中国侵攻の脅威」で指摘したように、台北周辺の防御は固く、陣地は秘匿されている。

 台湾の東部は山がちで、海岸に岩が多いため、部隊の上陸は西部海岸に限られる。中国軍にとって南部上陸が最もリスクが小さい。そして南部侵攻の途上に位置するのが、南部の沖に浮かぶ、約九十の島々からなる澎湖諸島だ。

 アックス氏は、米国の軍事専門家2人の著書をもとに、澎湖諸島を占領できなければ、台湾本島の攻略は中止せざるを得ないと書いた。

 台湾軍は、同諸島を最重要の防衛拠点の一つとし、同諸島に約六万の台湾軍が常駐させ、戦車七十両を配備。海軍も周辺海域で、ミサイル駆逐艦を常に航行させている。戦時には潜水艦一隻も周辺を回遊させると見られる。 

 中国海軍には近代的な強襲揚陸艦が八隻あり、強力な陸戦隊(海兵隊)も持つ。中国空軍は、何千発ものミサイルや爆弾を打ち込む能力がある。

 だが、時は中国に味方しない。澎湖諸島攻略に時間がかかるほど、台湾側の有利さは増す。台湾軍は南部の海岸に部隊を集結できるほか、約二百万人の予備役の動員が可能になる。米海軍も、二つか三つの空母打撃群を派遣する時間が与えられる。巡航ミサイル搭載の米軍爆撃機も配置につく。中国は、攻略に時間がかかるほど、直面するリスクが大きくなる。

 同氏の記事は、澎湖諸島の攻略失敗は、中国の台湾武力統一プランの終わりを意味すると結論づけた。

★参考情報★
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