台南市長8月2日台南市の頼清徳市長が、支持率低迷に悩む林全氏に代わって行政院長(首相)に就任するプランが、与党・民進党内の反対で頓挫しそうです。風伝媒などが2日伝えました。(写真は風伝媒のキャプチャー)

 頼市長は数カ月前から行政院長就任への意欲を、蔡英文総統に間接的に伝えていました。しかし、党内主流の「新潮流派」以外の勢力、特に游錫コン(コンは方方の下に土)元行政院長らが強く反対したとのことです。

 上報によると、総統府顧問で台湾独立派の長老、辜寬敏氏が「蔡英文総統は4年やれば十分だ。次の最良の人選は頼清徳だ」と語り頼氏支持を明確にしたことが、蔡総統支持派の反発を買いました。また、游元行政院長は、頼市長をまず新北市長に立候補させるよう党中央に提言しました。両長老の発言が決定打となり、今年9月の頼氏の行政院長就任は難しくなったということです。

 林院長の続投はほぼ確実となり、8月末に立法院の臨時会で「前瞻(未来志向)建設」と呼ばれる公共投資計画の特別予算が可決後、小規模な内閣改造を行うとみられます。

頼氏なら党最大派閥が支援、蔡総統支持率も上向く可能性

 上報によると、林院長は蔡英文総統の信頼は厚いものの、民進党内に支持勢力がなく、各派の反対を排除できないため政権運営が順調ではありません。頼氏が院長に就任すれば、総統府と行政院内の新潮流派の支援を得られるため、政策実行がうまく行き、蔡総統の支持率が回復する可能性が高まりそうです。

 馬英九前総統時代、初代の行政院長だった劉兆玄氏も、林全氏同様に学者出身で党内に基盤がなく政権運営に失敗しました。まもなく国民党新主席に就任するベテラン政治家、呉敦義氏が当時、劉氏に代わって行政院長に就任してから馬政権は持ち直しました。

 呉敦義氏は政治的野心が満々で馬英九総統には危険な存在でしたが、馬政権を支えることが自身の政治的未来に関わります。呉氏は馬英九総統を運命共同体とみて必死に働きました。頼市長が行政院長になれば、当時の呉敦義氏と同じ働きができる可能性があります。