大停電 台湾の17県・市で15日起きた大停電をきっかけに、蔡英文政権が進める脱原子力発電政策の見直しやスローダウンを求める声が政権支持傾向のメディアからも上がり始めました。(写真は、上報のキャプチャー)

 ネットメディアの風伝媒は16日、「李世光経済相の辞任で救われるのか」とする社説を掲載、原子力発電のゼロを目指す政策を全部撤廃することが難しければ、先に原発の発電量を増やして急場をしのぐことが必要と主張しました。その後、改めて脱原発政策の速度を落としたり、自然エネルギーの推進について検討するべきだとしています。

 社説は「停電するかしないか」は科学で分析が可能だが、「停電を心配するしないは「気持ち」の問題だと指摘。停電の可能性を分析した上で現実的な対処が必要だと述べました。

 そして今回の停電は、燃料の天然ガス供給が中断するミスが直接の原因で想定外の出来事だったが、2~5%と極めて低い供給予備率が続いていることが大きな結果を招いたと分析しています。

極めて供給予備率が停電の原因

 別のネットメディア、上報も、大停電の原因はうっかりミスがはなく供給予備率の低さのせいだとする原子力の専門家の声を掲載しました。

 上報によると、原子力の専門家、香港城市大学の郭位学長は「世界の先進国で、台湾のように低い供給予備率のところはない。10%をはるかに下回っており、大停電は想定外のアクシデントではない」と話しています。

 原子力の学術団体、中華民国核能学会の潘欽理事長も「原発が運転していれば、供給予備率が上がり、昨日のような停電にはならなかった」と述べました。

 一方、反原発団体「ママが原発を監督する連盟」理事長で、台湾大の徐光蓉教授は大停電について「発電設備の保守と送電系統の問題など、人為的なミスで発生した」と話しています。

周波数低下で安全システムが作動

 台湾電力によると、15日の大停電は、台湾桃園市の桃園大潭火力発電所で、操作ミスにより燃料の天然ガス供給が中断し、発電設備6基が止まったことがきっかけ。電力系統の周波数が低下したため安全システムが次々と作動し、各地で連鎖的に停電が起きたということです。