2017年12月6日蒋介石立法院(議会)は5日、「移行期の正義促進条例」を可決しました。過去の政権による人権侵害の真相究明や、被害者の名誉回復や補償を行って、社会正義を実現することが目的です。条例に基づき、過去の権威主義的な統治のシンボルとして、各地の故・蒋介石総統の銅像が撤去さることになりそうです。ETtodayなどが伝えました。(写真は、新北市永和区公所の故蒋介石総統像)

 条例に基づき、行政院(内閣)に「移行期の正義促進委員会」が設置されます。行政院長(首相)が委員9人を指名しますが、同一政党の委員は3人以下とされています。

 委員会は「政治資料の公開」、「権威主義の象徴と不正義な遺跡の除去」、「司法的不正からの名誉回復、歴史的真相の見直し、社会の和解促進」、「政党の不正資産の処理」の4つを任務として調査を行い、2年以内に行政院長に報告書を提出します。

 条例は権威主義的統治の時期を1945年8月15日から92年11月6日までと定めました。また、権威主義的統治の合法性を否定するためなどとして、公共建築や場所にある権威主義的統治者の象徴について、除去などの処分を行うとしています。

 さらに、大規模な人権侵害事件の発生地は、保存、再建の上、歴史的遺跡として整備することを定めました。

蒋総統のひ孫「条例は憲法違反」と反発

 5日付聯合報によると、蒋介石総統のひ孫で、国民党立法委員の蒋万安氏(38)は、同条例について「検察と裁判所による司法の調査権を侵すもので、憲法の権力分立の原則に反する。台湾社会の団結と和解を促すことはできない」などと批判しました。

 国民党広報責任者の洪孟楷氏は「条例は対象の時期からみて、国民党を狙い撃ちしている。今後、あらゆる方法で条例のでたらめさを明らかにしたい」と語り反発しています。