井上雄介のたいわんブログ

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カテゴリ: 台南

 頼院長蔡英文総統が5日、林全行政院長(首相)の辞職と頼清徳台南市長の就任を発表しました。頼市長は6日午前、台南市政府と市議会に別れを告げた後、6日には台北市の信義官舎で閣僚と面談、同日中に組閣名簿を内定しました。ETNEWS新聞網によると、頼氏は8日午前、総統府で就任宣誓した後、行政院で閣議を開き、新内閣が正式にスタートします。(写真は風伝媒のキャプチャー)
 
 風伝媒によると、林全前行政院長は、蔡総統とは以心伝心の間柄で心の支えでした。蔡英文総統が行政院長の交代を発表した記者会見で、林全院長の過去1年3カ月の業績を讃え感謝の気持ちを繰り返し口にしました。頼氏については「優秀な立法委員(議員)で、優れた市長だ。傑出した行政院長になるでしょう」などと形式的な賛辞を送ったのみ。あまり心が通わぬ人物に、政権の浮揚を託することになります。

 蔡政権は昨年5月の就任以来、当人と与党の予想を上回るスピードで支持率が低下して行きました。その要因の多くは林院長の行政のまずさにありました。蔡総統が林院長の業績として挙げた「5プラス2産業計画」「エネルギー改革」「前瞻(未来志向)のインフラ計画」「年金改革」のいずれもが、世論や野党の批判を浴びました。

学者政治はもうたくさんの声も

 経済学者の林院長には政策を推進する力が足りなかったようです。聯合報によると、与党・民進党のベテランは「学者の政治はもうたくさん」と嘆息したそうです。学者は議論の整理はうまいのですが、問題解決能力が乏しい。海千山千の人々との関係がうまくゆかず、官僚に騙されたりもするそうです。林院長も最近は「疲れた」とこぼしていたとか。

 これからは政治のプロ、頼清徳氏が内閣を率います。風伝媒によると、頼氏は与党最多数派閥の親潮流派に属します。立法院も同じ派閥が多数派で法案通過間違いなし。唯一の弱点は中央政府の経験が少ないことぐらいだそうです。蔡総統として、政権の浮揚には頼氏の手腕に頼るしかなさそうです。

 ただ、これまで蔡総統の身代わりで批判の受け皿になってきた林全氏がいなくなります。風伝媒によると、大物政治家の頼清徳氏が身代わりなるはずもなく、蔡総統が批判の矢面に立たされる恐れが出てきました。

 台南市長8月2日台南市の頼清徳市長が、支持率低迷に悩む林全氏に代わって行政院長(首相)に就任するプランが、与党・民進党内の反対で頓挫しそうです。風伝媒などが2日伝えました。(写真は風伝媒のキャプチャー)

 頼市長は数カ月前から行政院長就任への意欲を、蔡英文総統に間接的に伝えていました。しかし、党内主流の「新潮流派」以外の勢力、特に游錫コン(コンは方方の下に土)元行政院長らが強く反対したとのことです。

 上報によると、総統府顧問で台湾独立派の長老、辜寬敏氏が「蔡英文総統は4年やれば十分だ。次の最良の人選は頼清徳だ」と語り頼氏支持を明確にしたことが、蔡総統支持派の反発を買いました。また、游元行政院長は、頼市長をまず新北市長に立候補させるよう党中央に提言しました。両長老の発言が決定打となり、今年9月の頼氏の行政院長就任は難しくなったということです。

 林院長の続投はほぼ確実となり、8月末に立法院の臨時会で「前瞻(未来志向)建設」と呼ばれる公共投資計画の特別予算が可決後、小規模な内閣改造を行うとみられます。

頼氏なら党最大派閥が支援、蔡総統支持率も上向く可能性

 上報によると、林院長は蔡英文総統の信頼は厚いものの、民進党内に支持勢力がなく、各派の反対を排除できないため政権運営が順調ではありません。頼氏が院長に就任すれば、総統府と行政院内の新潮流派の支援を得られるため、政策実行がうまく行き、蔡総統の支持率が回復する可能性が高まりそうです。

 馬英九前総統時代、初代の行政院長だった劉兆玄氏も、林全氏同様に学者出身で党内に基盤がなく政権運営に失敗しました。まもなく国民党新主席に就任するベテラン政治家、呉敦義氏が当時、劉氏に代わって行政院長に就任してから馬政権は持ち直しました。

 呉敦義氏は政治的野心が満々で馬英九総統には危険な存在でしたが、馬政権を支えることが自身の政治的未来に関わります。呉氏は馬英九総統を運命共同体とみて必死に働きました。頼市長が行政院長になれば、当時の呉敦義氏と同じ働きができる可能性があります。

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