2019年3月2日馬馬英九前総統は、中国要人と二度と会えなくなるかも知れない。台湾の与党・民進党が、退職政府高官と高級軍人を対象に中国本土での政治活動を最長十五年間、事実上禁止する内容の「両岸人民関係条例」改正案を次期国会に提出することを決めた。中国本土渡航の意欲を再三表明している馬前総統を狙い撃ちにした疑いが濃厚。馬事務所は改正法案の発表から間もなく「ピンポイントの法改正であり、憲法違反だ」との声明を発表した。(写真は自由時報のキャプチャー)

 現行の同条例は、退職高官や軍人の渡航制限は三年以下。期間が過ぎれば、中国渡航の際の届け出も不要だ。改正案では渡航制限期間を三年以上に延長。国防、外交、国家安全保障部門の次官以上、中将以上の将官、情報機関の責任者は退職後十五年間、中国本土での政治活動を事実上禁じた。関係者は一千人以下とみられている。

 禁止される政治活動には、中国の党、政府、軍など政治的団体・機関が主催する会議や式典に参加することのほか、中国本土政権の旗、徽章、歌に敬意を表することも含まれる。違反者は月俸の終身剥奪のほか、最高で罰金五百万台湾元(約千八百万円)など厳しい罰則が適用される。

 「国家機密法」も合わせて改正。機密に触れる政府職員の中国本土渡航も三年以上に厳格化するほか、国家機密を漏らした場合、最高で懲役十年に厳罰化する。「予備罪」「共謀罪」も新たに盛り込んだ。

 ネット上では「非民主的」、「台湾のエスニシティ間の対立をあおる」などの反発が噴出したが、最も憤激したのは馬前総統。今年五月二十日に退任から三周年となり、自由に中国本土に出入りできるはずだった。同日以前に改正案が可決すれば、訪中の夢を絶たれる。前政権幹部からは「馬姓の人物が中国に行ったら、全員銃殺とでも定めれば良い」などと、反発の声が挙がっている。