2020年5月2日武 新型コロナウイルスの感染拡大の抑え込みに成功し、士気が高まっている台湾政府は、マスクで十分な供給力を確保したとして、ついに気前よく欧米など国際支援にも乗り出した。ところが医療用の生産に特化したことで産業用の生産が五割も減り、台湾工業の代表格である半導体メーカーなどでマスク不足が深刻化している。(写真は自由時報のキャプチャー)

 台湾政府は、新型コロナの感染者が出始めたばかりの一月末、早くもマスクの輸出を禁止。まもなく、マスクの生産ライン四十四本を強制徴用した上、材料となる不織布を統制物資に指定。医療用マスクの生産に全力を入れ始めた。現在は九十本余りのラインで、一日千三百万枚近くを生産している。

 蔡英文政権は、マスクの国内供給に憂いはなくなったとして国際支援に乗り出し、約千万枚を欧米諸国など友邦に寄贈。第二弾として、東南アジア諸国などにも数百万枚を送ることを決めた。

 与党・民進党の立法委員(議員)も、蔡政権「マスク外交」をさらに盛り上げようと、余ったマスクの供出を国民に呼びかけた。一方で、産業用マスクの不足に苦しむ産業界は、政治の盛り上がりを冷めた目でみている。

 半導体ウエハーや食品加工、化学、電子部品などの製造業界では、有害物質による健康被害を防ぐため、粉じんや悪臭を防ぐため、活性炭などのフィルターが入った産業用マスクの着用が欠かせない。マスクメーカーは生産に応じられない一方、各企業の在庫は既に底を尽いており、業界団体はマスク探しに大わらわ。財界7団体も、政府に申し入れを行った。

 産業用マスクは、日量六十万枚あれば十分という。産業界は、医療機関のスタッフや民衆向けに、医療用マスクの供給を優先する政府の姿勢を基本的に支持している。しかし、医療用の生産能力が一日千五百万枚に達する以上、国際支援するぐらいなら、産業用マスクの増産を許すよう切望している。

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