台湾の一部週刊誌が、EMS(電子機器受託生産)世界最大手、鴻海精密工業、の郭台銘(テリー・ゴー)董事長が2020年の台湾総統選挙への出馬に意欲を示していると報じました。



 



 聯合報によると、郭董事長は17日、「そんな考えは全くない」、「でたらめだ」などとと述べ否定しました。(写真は聯合報のキャプチャー画面)



 



 米大統領選挙で、大方の予想を裏切って、実業家のドナルド・トランプ氏が当選したことで、やり手実業家の郭氏の立候補が少し現実味を帯びてきました。



 



 両人とも、庶民からのし上がって実業で富を築いたこと、再婚して若い奥方がいること(郭氏の場合は死別)、年齢も比較的近いことなど共通点が多いことから、郭総統もありうるとの見方につながっているようです。



 



 聯合報によると、民主進歩党(民進党)の元立法委員(議員)で、論客の林濁水氏はフェイスブックで「蔡英文総統の支持率低下が続くなら、郭氏の出馬のチャンスを増やしてしまう」と嘆いています。



 



 林氏によれば、郭氏は梟雄(荒々しい首領のタイプ)で、台湾経済を転換する能力を備えているように見えます。20年の総統選で立候補すれば、有権者に期待を抱かせることになるでしょう。



 



 聯合報が読者を対象にしたネット世論調査によると、20年の総統選で郭氏に「投票する」との回答は82.5%に上りました。野党・国民党寄りの聯合報の読者なので、一般世論とは異なりますが、それでも期待の高さが垣間見えます。



 



 林濁水氏は「柯文哲・台北市長、フィリピンのドゥテルテ大統領、トランプ次期大統領と、あっと驚くショーが続いた後、郭台銘氏に当選の機会がないと言えるだろうか」と書いています。



 



(参考)http://udn.com/news/story/6656/2113838



 



 台湾は、権威主義的な統治に長年苦しんで、自らの手でようやく民主的な政府を手に入れました。



 



 郭台銘氏は、魅力はありますが独裁者タイプです。ああいうタイプに期待する社会はファシズムを生む恐れがあり、危ないと思います。成果を焦らず、しっかり手続きを踏んで、万機公論に決しながら歩むことが、外しちゃいけない政治の基本じゃないでしょうか。台湾の方々には、次総統選でなんとか慎重な選択をしてもらいたいものだと、切に思います。