日本統治時代の台湾に生まれた日本人「湾生」の物語を描いた映画「湾生回家」。台湾最高の映画賞「金馬奨」最優秀ドキュメンタリー作品にもノミネートされ、台湾でもでも延べ2300万人が見たとされる大ヒット映画です。



 



 23日付のニュースメディア、民報によると、この映画の原作者でプロデューサーの画家、田中實加(台湾名・陳宣儒)さんに絵画の盗作疑惑が持ち上がっています。(写真は、民報のキャプチャー)



 



 田中さんは、映画の制作のため、不動産や自作の絵画を売って費用を捻出したと話していました。ところが、SHINICHI CHENというネットユーザーが22日、フェイスブックで、田中さんが売った絵に盗作の疑いがあると指摘しました。



 



 SHINICHI CHEN氏は、盗作の原画とみられる11枚と比較した上、田中さんの作品が、描画ソフトを使って原画の色を調整し、反転させたものではないかと指摘しています。




 原画の作者は提訴を準備しているとのこと。田中さんは22日、「模写」だったとして盗作を否定しましたが、23日に1点して誤りがあったことを認め、原作者への謝罪を発表したことで、騒ぎが大きくなりました。



 



 田中さんは、ご自身も祖母が「湾生」だったとしていますが、この出自に対しても疑問視する声が上がっています。



 



 筆者もこの作品を台北・天母でみました。生まれ故郷、台湾を思う日本人の物語に、涙を流したり、喝采したりする観客の姿に、むしろ驚く思いでした。画面に出ている日本人と同様、観客の台湾人が自国・台湾に抱く深くて熱い愛情が感じられたからです。
 
 余談ながら、筆者が行った映画館には、かなり高齢の女性が車椅子で鑑賞にいらっしゃっていました。映画に出てくる「湾生」のお友だちなのかなと思いました。ご様子からみて、この映画でなければ、映画館に出かけることは決してなかったであろうとお見受けしました。



 



 この映画は、日本でも公開され好評ときいています。台湾と日本の結びつきを強める映画になるでしょう。折角の作品に傷がつかないよう、田中さんには疑惑の払拭をしてもらいたいものだと思います。
 



(参考)http://www.peoplenews.tw/news/ed6b396f-02b5-4da7-8806-06c8bbd3a9d6