日本人によるタクシー運転手暴行事件の取材、初めて台湾の刑事裁判を傍聴した。日本の刑事裁判は口頭主義なので、検事や弁護士がひたすら書面を読み上げていく。 台湾も建前は口頭主義らしいのだが、実際は3者で判決文の字句を詰める作業を法廷で延々と続ける。「検察官は犯行が極めて残酷で、社会に与える影響を大きいと述べた…マル(。)…と。弁護人、よろしいか」という感じ。ビジネスマンが契約書の内容をめぐり交渉しているかのようだ。 被害者の弁護人も検事と同席し、賠償関連の民事的な話し合いも同時に進む。法廷が、被告人をめぐる検察+被害者側と弁護側の駆け引きの場となっている。日本の刑事裁判は多くは弁護人がかなり控え目で、丁々発止にはなかなかならない。台湾のように、被告人の利益を守る争いがもっとあってもいいのかも知れない。