台北市の転居先アパートの大家は、新たな店子が日本人と知るやそう言った。40代後半の裕福そうな男性。母親は日本語を流ちょうに操るそうだ。 蓬莱小学校の前身は、日本時代の明治末年に開校した蓬莱公学校。台湾人女児が初等教育を受けた。正門前に100年を超える歴史を紹介するパネルが置かれ、日の丸たなびく校庭で、おかっぱ頭の女の子が体操する写真などが掲げられている。蓬莱公学校は教育水準が高く、役人や資産家の娘が多く通ったという。 門前は台北有数の露天街「寧夏夜市」で、毎日明け方までにぎわうが、登校時にはゴミ1つ残さずきれいに片づく。みんなが小学校を大切にしているのが分かる。パネルによると、公学校時代「私の母親は蓬莱の卒業生」と言うのが自慢だったという。大家が誇らしげな顔が目に浮かんだ。(井)(NNAテイクオフ、1月18日)