ファウンドリー(半導体の受託製造企業)世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の張忠謀董事長は先に、顧客の在庫増加を理由に、今年第4四半期から2期連続で受注が減るとの見通しを明らかにした。しかし、内外顧客のこれまでの行動パターンなどから、第1四半期にも受注が回復する可能性が高い。22日付電子時報が伝えた。 TSMCの生産能力不足がようやく完全に解消したため、内外の半導体メーカーは、一時、発注を見合わせている。張董事長の予告の通り、TSMCの第3、第4四半期の受注は先行きが全く不透明だ。後を追う二線級のファウンドリーが、相次いで28ナノメートル製造プロセスに参入。値下げに踏み切っていることもあり、TSMCへの注文取り下げの情報も止まることがない。 半導体メーカーなど顧客によるファウンドリーへの発注は、先物取引のようなもの。景気回復を先に察知した業者が、先を争って価格を顧みず発注を急ぐ。景気後退も同様で、業者が先行きを悲観したとたん、TSMCの工場の稼働率は急降下する。 TSMCの工場稼働率が来年第2四半期に高いレベルに回復するの予測で業者が一致するなら、内外の顧客メーカーには先を争う心理が働き、第1四半期に注文に走ることは間違いない。また、2011~13年の3年間、上半期に在庫を増やし、下半期に注文を見合わせるパターを顧客が繰り返していることからみても、TSMCの受注回復時期を来年第2四半期まで待つ理由はない。 14年上半期、TSMCはいよいよ20ナノプロセスでの製造を始める。また14年第2四半期は、新しく増強した28ナノプロセスの工場へ、スマートフォン、タブレット端末のメーカーから注文が集中するのは間違いなく、フル操業状態になることもありうる。14年第2四半期になって隅に追いやられないよう、第1四半期のうちに注文を済まそうとの心理が働くはずだ。