監察院 台湾与党、民主進歩党(民進党)議員団は、蔡英文総統の公約実現のため、過去の政権による人権侵害の真相究明のほか、被害者の名誉回復や補償を行い、社会正義を実現していくことを目的とした「移行期正義促進条例」を今年9月の可決を目指すことを決めました。風伝媒が伝えました。

 民進党案は、国民党統治時代の権威主義体制期(1945年8月15日~1991年4月30日)を移行期正義の対象としています。

 これに対し最大野党、国民党も対案を提出予定ですが、1895年から1945年までの日本統治時代のいわゆる慰安婦の強制徴募、原住民の迫害、当時の国債の償還問題も対象含めています。国民党時代を相対化しようという考えがありそうです。

 民進党案が、蒋介石像など権威主義体制時代の象徴の撤去と、当時の不正義を象徴する遺物の保存を盛り込んでいます。これに対し国民党は総統府、監察院、国史館、台湾銀行などの日本統治時代を代表する公共建築を開放し、観光資源にもするべきだと提案しています。

 両党とも条例案にどの時代、どんな事件を対象に入れるかについて色々な政治的な思惑があるようです。政権の再交代の可能性も視野に、将来の攻撃材料を保留して置こうとの考えもあるとのこと。被害者の救済よりも、政治の駆け引きの道具になってしまっている感じです。