
台湾新幹線は、今年七月死去した李登輝氏が総統時代の一九九九年に日本製車両の導入を突如決断した。台湾は当初、欧州の高速鉄道システムを導入する計画だったため、欧州式に日本式を継ぎ足した特殊なシステムになった。この結果、競争入札でも欧州勢は事実上参加できない。日立東芝連合が、台湾の足元をみて高値をふっかけてきたとの見方が広がっている。
李登輝総統の決断は、JR東海の葛西敬之名誉会長との個人的な友情に加え、二〇〇四年の李総統訪日を実現するとの政治目的があったとされる。台湾は日本製車両に切り替えるにより、当時、欧州勢へ二十一億元もの賠償金を支払った。台湾新幹線を「植民地鉄道」と揶揄する声もある。
日本側の提示価格はあまりに高く、国民の反発は必至。台湾新幹線会社の最大株主である林佳竜交通相が、値下げを求める手紙を葛西名誉会長に送った。手紙は、名誉会長と李総統との昔日の友情に触れ、値下げを訴えるものだったが、最大野党・国民党から媚日の批判を招きかねない。
折しも、謝長廷・駐日代表がフェイスブックで、五県産食品の輸入を解禁しないと、台湾の国際貿易機関への加盟で日本の支持を得られないと書いて、世論の反発を買った。台湾ではまだ、五県産食品は放射性物質で汚染されていると信じられており、アレルギーが極めて強い。
国民党が、親日的な民進党政権を攻撃するため、台湾新幹線と五県産食品の輸入解禁問題で国民の対日感情悪化をあおる可能性が十分にある。台湾の対日世論の悪化は、中国にとって願ったりかなったりだ。
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