
ただ、台湾軍の反撃でネックとなるのが極めて深刻なミサイルを筆頭とする精密誘導弾の不足。米軍の推定だと、台湾軍が外部からの補給なく作戦できるのは長くて二週間。台湾防空の虎の子、F16戦闘機の中距離空対空ミサイル「AIM120」は、開戰三~四日で全弾撃ち尽くす見通し。この時点で台湾軍の航空優勢は崩れてしまう。
台湾軍関係者によると、精密誘導弾の在庫量は戦いの行方を決める重大事。しかし、各種精密誘導弾は使用期限が十年と短く費用も高いため、毎年の国防予算が限られる中、性能を維持しながら在庫を維持するのは容易でない。 台湾軍は一九九七年、フランスからミラージュ戦闘機とともに空対空ミサイル九六十個を一挙に購入したが、とっくに使用期限が過ぎている。軍が多額の費用をかけてミサイルの延命を図っているが、実戦で役立つかは空軍パイロットすら自信がないという。
米シンクタンク「プロジェクト2049研究所」の研究員は先に米メディアに、米軍が台湾にイスラエルと同様、あらかじめ重要装備を備蓄して置く必要を訴えた。台湾国防省は表向き「尊重するが、コメントしない」と無視したが、実際のところ台湾の軍や情報機関の関係者は大歓迎。台湾軍が米軍の備蓄装備と弾薬を使えれば、弾薬不足問題を心配せず火力を維持できるとして、提案が実現することを切望している。
なお。米国防総省関係者によると、米軍の介入を前提に中国軍の台湾侵攻戦をコンピューターで図上演習したところ、台湾空軍が最初の数分で壊滅するとの結果が出た。台湾軍のシミュレーションとは余りに隔たりがある。米軍の想定が正しければ、中台の戦力差は圧倒的で、勝負の分かれ目は備蓄弾薬以前となる。