
六月二十日、米国が贈った米モデルナ製ワクチン二百五十万回分が到着した。民進党政権高官によると、米の一回目の贈呈分七十五万回分、日本が贈った百二十四万回分に海外からの購入分を合わせ、台湾は八月末までに一千万回分を確保できる見通しとなった。
政権高官によれば、台湾製薬大手、国光生技によるワクチンのOEM(相手先ブランドによる生産)が、米製薬会社から認められる見通し。日本政府による、二回目のワクチン支援も、遅くとも七月に行われとみられ、ワクチン確保に勢いがついている。
五月半ばに台湾で新型コロナの感染が拡大して以降、国民党は六月初め、ワクチン確保を求める国民運動を発動し、巣ごもり中の国民に、ネットを通じて怒りと不満を表明するよう求めた。国会議員団も、総統府と保健当局の台湾衛生福利部に対し請願活動を行った。有名ブロガーなどネットのオピニオンリーダーも政権批判に加わり、国民党の攻勢が勢いづいた。
さらに国民党中央は「感染対策連盟」を結成。江啓臣党主席が、国民党系の地方首長とテレビ会議を行い連携ぶりをアピールした。しかし、国民党にワクチン確保に妙案がある訳でなく、民進党の遅れを批判するだけ。地方首長も、中国製の解禁を求めたり、ファイザー・ビオンテック製ワクチンの独自購入を主張したりと党内世論の乱れが露呈した。
その中で、国際情勢の変化もあり、日米のワクチン支援が予想外の速さで進展。民進党が、日米との良好な友好関係を自賛する大宣伝を始めたため「口だけ」の国民党が逆に窮地に陥り始めた。国民党幹部は「政治情勢の変化を分析する必要がある。ネットで批判を続けるだけのピエロじゃだめだ」と述べた。