誠品 台湾だけでなく中華圏の書店のイメージを一新したとされる誠品の呉清友董事長が18日、心臓病のため急死しました。68歳でした。中国・上海最高層のビル「上海中心」への出店が最後の夢だったそうですが、かないませんした。(写真は聯合報のキャプチャー)

 呉董事長は18日夕、台北市の誠品のオフィスで倒れ、病院に運ばれましたが死亡しました。同社は娘の呉旻潔さんが経営を全面的に引き継ぎます。

 聯合報によると、誠品は2015年に江蘇省蘇州市に開店した後、上海中心への出店に向け準備を進めていました。しかし、関係者によると、上海中心は誠品が出店予定だった区画について別の業者に入居させることを決めたとのことで、計画の中断が確定したようです。

 関係者によると、上海中心は、台湾で蔡英文政権が誕生したことに加え、誠品が民主進歩党(民進党)と関係が親密なことも嫌ったとのことです。上海中心がある上海市浦東新区政府は当初、誠品の誘致に積極的でした。

 上海中心の店舗は今年下半期に開業する予定でした。52、53階と地下1階の計7000平方メートルを占める大きな店となる予定でした。

キッチン用品の輸入商からスタート

 誠品は1989年、欧米のキッチン用品の輸入商をしていた呉清友氏が、台北市の高級住宅・オフィス街の敦化南路地区で、高級住宅を借りて開業しました。呉氏は芸術書が大好きだったため、住宅地下を芸術書店の「誠品」、1階で輸入厨房用品を扱いました。図書とおしゃれな日用雑貨の販売で知られる誠品の原型です。

 戒厳令解除による台湾社会の雰囲気の変化と、生活レベルの上昇に伴う台湾市民の嗜好の高級化に良くマッチし、誠品は順調に事業を拡大しました。

 誠品の各店は商品がおしゃれなだけでなく、店の内装が美しいため市民に人気です。2015年には米CNNから「世界で最もクールな書店」に選ばれました。

 現在は台湾だけで42店を数えます。近年は、生活用品の百貨店、ホテル、不動産経営などにも事業を拡大しています。