台湾軍の王文勝退役少佐は、台湾メディア上報に寄せた論評で、中国が台湾の新型コロナウイルスの感染拡大を利用して、ニセ情報散布作戦を強化する中、主戦場をフェイスブックからLINEに転換しているとの見方を示した。

 王氏によると、中国はこれまでフェイスブックで、専属のユーザー多数を金で動員したり、異なるアルゴリズムを使うなどのやり方で、異なる読者に同内容を大量発信する広告同様の方法を使ってきた。

 しかしフェイスブックは、ニセアカウントや広告まがいのアカウント閉鎖を推進。グーグルも、低品質の情報を大量発信する「コンテンツファーム」への監視を強めたため、中国がニセ情報散布の舞台をLINEとユーチューブに転換している。

 特にLINEは台湾と日本では、主流のメッセンジャーアプリ。匿名性が高く、個人情報が漏れる恐れがない上、現在は、同一内容の大量発信も可能。そして、フェイスブックと異なり「クラスター(仲間)」以外から即時反撃を受ける恐れがないのも、中国にとり好都合だという。

 「コロナ感染で、中国は超安全。マスクは不要」などの中国を称える動画付きの情報が、LINEの中台統一支持派のコミュニティーに送られると、仲間内で共有された後、統一派ではないが反民進党政権のコミュニティーにも拡散していく。

 専門家からは、中国発の情報を一切信用しないよう啓蒙を徹底する一方、台湾国家安全局など専門部門による対策も必要との指摘が出ている。

◇参考情報
香港発「政治難民」急増 台湾がスパイ浸透に厳戒
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