20220610銃台湾軍によると、国産の最新式狙撃銃「T108」が完成し、八月末までに審査を通過して、陸軍、海兵隊、憲兵などに配備される見通しだ。台湾メディアの風伝媒が伝えた。(写真は風伝媒のサイト画面)

 蔡英文政権は、侵攻する中国の圧倒的な軍事力に、ゲリラ的な「非対称戦」で抵抗する方針で、台湾軍の改革を急いでいる。最新式狙撃銃の配備は「非対称戦」の象徴的兵器の一つとみられている。

 台湾の現在のT93狙撃銃は、有効射程距離は八百メートルだが、T108は千メートル。海兵隊第六六旅団が先行採用し、使用状況は改善点などを軍備局二〇五工場にフィードバックする。

 ウクライナ戦争でも、侵攻したロシア軍を苦しめているのが狙撃手で、数百メートル先にいるロ軍指揮官らを仕留める。一発の弾丸で、戦局転換のきっかけになることもあるとされる。

 蔡総統は「非対称戦」のアピールに懸命で、六月初めには第六六旅団を視察。国産の携帯式「紅隼対戦車ミサイル」を担ぐパフォーマンスを演じた。視察現場には、米国製の携帯式対戦車ミサイル「ジャベリン」、地対空ミサイル「スティンガー」と並んで「T108」を展示した。

 蔡総統のアピールは、台湾軍中枢では、年配の将官クラスを中心に、過去に受けた教育の影響もあり、戦車や火砲など正面装備による中国軍との戦いへのこだわりがあるためだ。軍事資源が「非対称戦」向け兵器に重点分配されることに、気持ちが追い付いて行けないという。

 軍人出身の邱国正国防相、厳徳発前国防相ともかつて「非対称戦」に疑問を懐いていたが、ウクライナ戦の開始後は、考えを改めるようになっている。米国も、台湾にウクライナ同様の「非対称戦」を戦わせる考えで、米国製兵器売却を通じ、誘導を図っている。

 台湾軍は今後、兵器のほか兵士の個人装備や通信機器、戦場救護など様々な分野で、「非対称戦」に適した態勢の構築を急ぐことになる。

◇出典

https://www.storm.mg/article/4372949

https://www.storm.mg/article/4363647

◇参考情報
台湾で自主防衛意識高まる 米軍アフガン撤退で危機感
台湾軍の弾薬不足深刻 F16も3日で全弾打ち尽くし