
安倍氏殺害の山上徹也容疑者(四一)が、記者を装っていたとの情報があるため、警察は、行政院長(首相)ら、要人取材で集まるメディアの取材陣に、警察官の目前でカメラを試写させ点検する試みを始めた。
安倍首相殺害事件の直後から、全土で警護態勢が強化され、総統や行政院長らの行動予定が非公開になったた。また、最大野党国民党の馬英九前総統の警護の警察官は、「防弾カバン」の携帯を再開した。
蘇貞昌行政院長が、台北市内の二カ所で公営住宅予定地の視察を行った際は、警察トップの黄明昭・内政省警政署長が台北市警察局長を伴って現地に入り、直接警備を指揮するなど、国政選挙中並みの破格の態勢を敷いたという。
また、安倍首相が背後から銃撃されたことを教訓に、蘇院長が演説した際は、要人の全周に目を配る「三百六十度警備」を徹底。演台後方に設置されたスクリーンの背後でも、私服警官が目を光らせた。
安倍事件で、退任した閣僚の警護に焦点が当たっている。新型コロナウイルス対策の責任者、陳時中・衛生福利相が近く、台北市長に立候補のため退任するが、警察は少なくとも選挙期間中は、警察官の随行を続ける方針だ。
警察は、安倍事件を教訓に、陳氏ら要人が、食品市場などで選挙民と触れ合うなどの選挙活動が、警護活動の盲点になるとみている。今年十一月の台湾統一地方選挙を念頭に、市場や雑踏など、警備が困難な場所での警護方法の確立を急ぐことにしている。
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