台プラEMS(電子機器受託生産)世界最大手、鴻海精密工業に続いて、台湾プラスチックグループ(台プラ)傘下の台塑化は28日、米ルイジアナ州セントジェームスにナフサ分解プラントを建設する計画を明らかにしました。投資額は2849億台湾元(約7400億円)で、2024年に操業を開始する予定です。ルイジアナ州の石油、天然ガスの埋蔵量が米テキサス州に次いで大きいことがプラント建設の決め手になりました。聯合報が29日伝えました。(写真は聯合報のキャプチャー)

 台プラはテキサス州のプラント増強も進めていて、2018年第3四半期に操業を始める予定です。その時点で台プラの米国でのエチレンの生産量は、一時は世界最大規模だった台湾の第6ナフサ分解プラント(雲林県麦寮郷)を上回ることになります。

 ルイジアナ工場新設とテキサス工場増強を合わせると、台プラの対米投資では過去最大の150億米ドル(約1兆7000億円)になり、台湾での過去5年間の投資額の2.3倍になるそうです。

トランプ政権の減税案とシェール油が魅力

 聯合報によると、台プラが米国で大規模な投資を決めたのは、トランプ政権の政策が大きなもうけにつながると判断したためです。

 特にトランプ政権が法人税率を35%から一挙に15%まで引き下げることを決めたことが大きかったようです。台プラの林健男董事長は「台プラの米国事業に有利なだけでなく、経済成長を刺激する効果もある」と話しています。トランプ政権が公共投資を拡大しようとしていることも、台プラにとっては需要の拡大につながる可能性があります。

 トランプ政権がシェール油開発に積極的なことも台プラにとって魅力とのこと。原油供給に不安がなくなる上、値下がりが見込めるので競争力強化につながります。台プラは米国が今後、第2の中東となり輸出拠点にな可能性がみています。

 台プラが、創業者の王永慶氏が自ら米国に乗り込んでからこれまでの30年間、現地政府との関係も良くビジネスも成功してきたという体験も、対米投資拡大の決断を後押したようです。