中国の台湾武力統一の懸念が強まる中、台湾軍特殊部隊が十一月初め、首都圏の新北、台北の両市境界を流れる「淡水河」の河口で、台湾政権中枢に対する中国軍の「斬首作戦」を想定し反撃の演習を行った。
演習では、台湾軍の攻撃ヘリ「AH64アパッチ」と多目的軍用ヘリの「UH60ブラックホーク」2機が飛来。特殊部隊員が「ヘリボーン」で降下し、地上の国産CM11戦車と合流して空陸連携の作戦を行った。台湾メディアの聨合報などが伝えた。
現場では、外国人二人が目撃されたが、ブルーのシャツにカーキ色のパンツという準制服姿から、米軍顧問団の「AAR(アフター・アクション・レビュー)」要員とみられている。AAR要員は通常、実戦経験豊富なベテランで、今回の演習終了後に台湾軍と、実際の戦闘に役立つかの検証を行ったとみられる。
民進党政権は、首都防衛を重視する傾向があり、蔡英文政権発足直後に台北市内の国防大学キャンパス内に海兵隊一個大隊を配置。その後も政権中枢の防御力を強化してきた。
台湾軍は昨年末から密かに、台北がある台湾北部の防空部隊と地上部隊の火力強化にも着手。地上配備型迎撃ミサイルパトリオット(PAC3)のほか、30ミリ機関砲搭載型の国産装甲車「CM32雲豹」などを憲兵隊や淡水河の守備隊に配備した。空軍は台北に近い桃園の防空陣地に国産防空ミサイルと攻撃用の国産無人機を配置した。
国家安全局は、中国軍部特殊部隊が淡水河口に上陸し、支流の基隆河などの河道伝いに侵入し、総統府を襲撃してくることを警戒。陸軍の水陸両用部隊を淡水河口に配備することも計画している。
十一月初めの演習は、陸軍特殊作戦司令部が首都圏の三基地部隊を指揮し三日間実施。台湾北部の首都中枢の防衛を支援するため、台北市周辺の要地、特に「対斬首作戦」の最前線と呼ばれる淡水河の河口に、ヘリコプターで迅速に兵力を直接投入する演習などを行った。
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