台聯・社民党 2018年の地方選挙を前に、弱小野党の社会民主党が台湾団結聯盟(台聯)と連携に向け接触を始めました。社会民主党は、緑党など他の小政党との連携も模索しています。台湾が徴兵制から志願兵に移行する中、台聯が「徴兵制」の継続を主張、社会民主党も、軍隊の文化が変わることを前提に国民皆兵を主張し注目を集めています。風伝媒が伝えたました。(写真は風伝媒のキャプチャー)

 社民党の代表の范雲氏は、台聯だけでなく2016年の国政選で同じ候補者を推薦したことのある緑党、第3勢力と呼ばれる有力野党の時代力量も協力の対象になると話しています。

 台聯の前立法委員の周倪安氏によると、地方選挙は1つの選挙区で複数当選者が出る制度のため、小政党も選挙協力すれば当選者を出せるそうです。社民党は首都圏の新北、台北の両市で若者の支持者が多く、台聯は中・南部で強いため互いに補い合えそうです。

台聯は女性含む徴兵制主張

 徴兵制の問題で台聯は、敵意を持つ隣国の中国に対し、志願兵制は安全保障の必要を満たせないとしています。また、徴兵制を復活する場合、女性も対象として排除するべきでないとしています。

 社民党の范氏も志願兵制は階級問題に絡むとして反対です。兵役は公民の義務なのに、志願兵制だと資産のない人が就く傾向があり、社会民主主義の理念に反します。范氏も、中台関係が厳しいため、完全な志願兵制は安全保障の必要に合わないとしています。
 
 ただ、范氏は「洪仲丘事件」(2013年7月、台湾陸軍で懲罰をきっかけに下士官が死亡した事件)などが再発しないよう軍隊を改革して国民の信頼を取り戻すことが先決だと指摘しました。また、女性を含む国民皆兵も検討に値するとしています。

 范氏の主張をみると、リベラリズムと国民皆兵の主張が一貫しています。日本でもリベラリズムの論客、井上達夫・東京大教授が「軍事力を無責任に濫用しないため、自分たちに課すシバリとして」、軍事力を持つ選択をした場合は、無差別公平な徴兵制にするべきだと主張しています。

 国家に責任を持つリベラル。台湾の社民党はレーニン主義的な国家観ではないうようで、信頼できる野党だなと筆者は思います。