
うち何仁傑被告は、呉ショウ(金ヘンにリットウ)燮前外相の政務秘書官を務めた。何被告の情報提供に基づき、中国側は台湾と友邦間の関係維持の仕組みを把握し、利害誘導や圧力で8か国との断交を成功させたと見られる。
4人うち主犯格は、ベテラン党職員の黄取栄被告で、中国の情報機関、中国国家安全省のために活動し、総統府や外務省に勤務する呉尚雨、何仁傑の両被告らを取り込み、国家安全や外交に関する機密情報を収集していたという。機密情報は、公務用の中国製スマートフォンを使い、にせのパズルゲームや「五目並べ」アプリを通じて中国側に送られた。
何被告は、台湾と米国の協力体制や中南米の友邦との外交戦略に関する情報に深く関与しており、外務省の報告をまとめて前外相に提出する役割を担っていた。捜査によると、何は2022年末から2024年3月にかけて、呉前外相と中南米諸国の外交官との面会記録や会議内容、さらには副総統時代の頼清徳が2023年に行った、パラグアイ訪問の全行程などを黄被告に送信。黄被告はそれを中国側に渡していた。
黄取栄と何仁傑両被告は、現在も容疑を否認している。黄被告は「情報は自作して金をだまし取るためだった」と主張。何被告は「内容や機密性を理解していなかった」「自分は呉外相ために資料を整理しただけ」と弁明している。
台北地検と台湾高等検察署は、6月10日に黄取栄被告を国家機密保護法違反(漏洩および提供)で起訴し、それぞれ懲役9年、8年を求刑。さらに資金洗浄罪で1年6月、国家安全法の「中国組織発展罪」で12年を求刑。合計で懲役30年6月を求めている。
◇出典
https://www.chinatimes.com/realtimenews/20250611001362-260407?ctrack=pc_main_headl_p02&chdtv