25年6月30日4米太平洋陸軍司令官のロナルド・クラーク氏は6月27日、中国が台湾侵攻を遂行する可能性は極めて低いとの見方を示した。米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)の会合で、中国軍は米軍の兵士の能力と意志が示す高い殺傷力や即応性を認識しており、米軍の偵察・攻撃・防護・持続作戦の能力は対抗が難しいと指摘した。米軍は最も危険なシナリオとして中国の渡海侵攻を想定し、師団級や司令部レベルで計画を練り上げているという。台湾の中央通信社が伝えた。

 クラーク氏は、台湾海峡を越える渡海作戦は80マイル(約130キロメートル)の水域を含み、成功には多様な能力が必要だと説明。さらに、台湾海峡は複数の国による「絶え間ない監視」の下にあり、世界各国が連携して中国の侵攻を抑止していると述べた。「外部からの干渉なしにこのような大規模な渡海作戦を成功させる可能性は非常に非常に低い」と強調し、米軍は地域全体でパートナーシップを強化することでこの課題を中国にとってさらに困難にしていると語った。

 また、米軍の同盟国やパートナー国も台湾海峡を通過する航行を含む共同作戦を進め、緊密な協力体制を築いているという。

 司令官はさらに、中国軍による威圧的・攻撃的・強制的な行動を抑止するため、必要な協同作戦能力の構築を急ぐ考えを示した。米軍内部では、指揮官らが隊員に対し、自らの任務の重要性を理解させるとともに、全員が一丸となってこの課題に立ち向かっているという意識を共有させていると説明した。

 一方、米国防総省は大国間競争を見据え、従来の散発的な紛争対応から計画を見直し、部隊の再配置を進めている。ピート・ヘグセス米国防長官氏は内部指針で、中国を米国にとって「唯一の進行中の脅威」と位置付け、台湾奪取を阻止することを最優先課題と明記。他地域で危機が発生する可能性もあるとした。

 ヘグセス長官は5月のシンガポールでのアジア安全保障会議「シャングリラ・ダイアローグ」では、中国が台湾を「征服」しようとすれば「壊滅的な結果」を招くと警告し、トランプ大統領の監視下で中国が侵攻を敢行することはないと強調した。

◇出典

https://www.cna.com.tw/news/aipl/202506300019.aspx