25年7月1日3 米紙ニューヨーク・タイムズは、台湾の頼清徳総統が6月22日から始めた連続演説「団結国家十講」について、政界や社会で激しい反響を呼んでおり、専門家からは、社会の対立を深めかねないとの指摘が出ている。北米の中国語メディア、世界新聞網が伝えた。

 NYTは、台湾社会が「アイデンティティ」「中国との緊張」「国家安全保障」という三つの大きな分断を抱えていることを浮き彫りにし、この連続演説が中国にとって台湾への軍事的圧力を正当化する口実になる可能性を指摘している。

 同紙によれば、頼清徳氏が現在「中国からの武力的な威嚇」と「立法院を掌握する野党」という二つの戦線で同時に戦っていると説明。対立を解消しようとした「十講」自体が、かえって対立を深める結果を招きかねないとした。 すでに頼清徳氏の「第一講」は、中国側の非難をエスカレートさせている。記事は、北京が台湾周辺で空海軍の活動を常態化させる中、頼清徳の演説をさらなる軍事圧力強化の理由に使うリスクがあると報じている。

 台湾大学国家発展研究所の南楽助理教授はニューヨーク・タイムズに対し「頼清徳は自身の支持層を動員し、野党によるリコール(解職請求)を阻止しようとしている」と語った。また「頼清徳氏に残された唯一の武器はマイク(演説)であり、立法院を掌握していない以上、実際に進められる政策変更はごく限られている。正直に言えば、総統として唯一大きな影響力を発揮できるのは演説の場だ」と指摘した。

◇出典
https://www.worldjournal.com/wj/story/121220/8842281?from=wj_catebreaknews