2017年11月21日エネルギー 台湾の原子力発電について、馬英九政権時代の段階的な廃止政策「穏健減核」よりも、蔡英文政権の脱原発政策「非核の家」の方が二酸化炭素排出量は少ないとのシミュレーション結果を、台湾大リスクセンターの研究チームが発表しました。風伝媒が21日伝えました。

 馬英九・前政権は、建設中の第4原発を稼働する代わり、運転中の第1~第3原発の延命をせず、その間に再生可能エネルギーを含め原子力発電代替の電源を探すというものでした。現在の蔡英文政権は第4原発は稼働は見送り、第1~第3原発も延命せず、別の電源への切替を急ぐ「非核の家」政策です。
 
 台湾で二酸化炭素など温室効果ガスの主な発生源は発電所です。「非核の家」政策は、再生可能エネルギーの発電量を増やす一方、火力発電は石炭から天然ガスへの転換を急いでいます。

 一部からは、原発廃止の過渡期に二酸化炭素と大気汚染物質の排出が増え、2014年に定めた温室効果ガスの削減目標が達成できないとの批判が出ています。

 台湾大チームによると、2025年の段階で馬政権の「穏健減核」の方が「非核の家」よりも、二酸化炭素排出量が最大で0.2億トンも増えるとのシミュレーション結果が出ました。

前政権は原発と石炭火力を重視


 シミュレーションを行った、台湾大の趙家緯研究員によると、「穏健減核」と「非核の家」の差は、前政権が原発と石炭火力発電を重視し、再生可能エネルギーと天然ガスの割合が低いことが原因とみられます。

 趙研究員は「原子力発電所がある限り、天然ガスを積極的に使う気にならない」と話しています。

 筆者は、前政権が原発と石炭火力を重視したのは、コストの問題があると思います。コストを考慮しないエネルギー政策は長続きしないので、シミュレーション前提が崩れてしまうような気がします。