2017年12月27日国防 台湾国防部は26日、蔡英文政権発足後初の「国防報告書」を発表しました。中国を国軍最大の脅威とした上、過去の「海岸決戦」概念と初めて正式に決別し、敵地、海上、水際、海岸などで迎撃して敵の漸減を図る「多重阻止」構想を明らかにしています。自由時報が27日報じました。(写真は、中国時報のキャプチャー)

 国防報告書によると「多重阻止」構想は、人工衛星、航空機、艦艇、潜水艦を動員し、何重もの火線を敷いて敵の進攻力を段階的に削いでいくというもの。同書が図入りで紹介しています。

巡航ミサイルで敵地攻撃も

 自由時報によると、この構想では、敵地攻撃可能な巡航ミサイル「雄二E」の役割が注目されます。蔡英文政権は、射程延長と配備数の増加を行うとみられます。射程距離は1200キロまで伸びて、南京や上海を攻撃できるようになります

 なお今年の国防報告書では漫画版が作られました。漫画版のQRコードをスキャンすると、「国家中山科学研究院」が作成した台湾の兵器紹介ページを閲覧できます。

中国軍の実力を過小評価

 中国時報によると、台湾海軍兵学校元教官の呂礼詩氏は国防報告書について、中国軍の対台湾作戦能力と防空上の脅威を過小評価していると批判しています。

 呂氏によると、中国は中国共産党第19回全国代表大会(第19回党大会)終了後、台湾に対する軍事的圧力を高めています。台湾本島沖の周回飛行は状態化し、台湾空軍に極めて重い心理的圧迫を加えています。

 また、台湾防空で要となるパトリオット・ミサイルは、配備数でも性能面でも、中国軍のミサイル攻撃に対し有効な反撃ができないそうです。