甘粛で遊覧カート横転 台湾人観光客13人死傷
中国甘粛省の景勝地「甘加草原(甘加秘境)」で24日午後4時頃、台湾人観光客ら13人を乗せた遊覧カートが横転し、1人が死亡、12人が負傷した。中台間の緊張を背景に、台湾政府は現在も旅行社による中国への団体旅行を禁じているが、実際には「親睦会」などの名目で手配を行う「変形ツアー」が横行しており、今回の事故は形骸化した規制の危うさを浮き彫りにした。台湾メディアの聯合新聞網などが伝えた。
中国の国務院台湾事務弁公室(国台弁)は26日、現地当局が負傷者の救治と遺族への支援に全力を挙げていると発表し、事故原因を調査中とした。台湾の交通部観光署によれば、事故に遭ったのは大手旅行社「喜鴻旅行社」が手配したグループで、旅行責任保険には加入していたという。
事故が発生したのは甘粛省甘南チベット族自治州の夏河県に位置する景勝地内だ。13人の台湾人(うち1人は添乗員)を乗せた観光車両が横転し、1人が重傷を負って病院に搬送されたが、救急措置も及ばず同日夜に死亡した。他の負傷者のうち3人が入院治療を継続しており、残る9人はすでに退院して宿泊先のホテルに戻っている。
「禁団令」と市場実態の乖離が生むリスク
台湾政府は2020年から続く中国への「団体旅行禁止令(禁団令)」を解除していない。当初は新型コロナウイルス対策を理由としていたが、パンデミック収束後も中国側による航路設定の変更や政治的緊張を理由に、旅行社が中国へのツアーを一般公募することを禁止し続けている。
しかし、訪中需要は極めて高く、統計によれば2025年の訪中台湾人旅行者数は約323万人に達した。これはコロナ前の2019年の8割に相当する水準だ。この膨大な需要を吸収しているのが、親族や友人の自発的なグループを装って旅行社が実質的に手配を請け負う「変形ツアー」と呼ばれるグレーゾーンの旅行形態である。
専門家は「禁止令は政治的アピールの意味しか残っておらず、水面下での募集がトラブルや安全管理の不透明さを招いている」と指摘する。正規の募集が禁じられているため、旅行社はSNSなどを通じて閉鎖的に集客を行わざるを得ない。これが消費者保護の死角となり、万が一の事故発生時における法的保障や迅速な支援を阻害する要因となっている。
政治的宣示と国民の安全保障
今回の悲劇は、政治的宣示としての「禁止令」が、市場の実態や国民の安全保障と乖離している現状を突きつけた。犠牲者の中には、休暇中の警察官の家族も含まれていたと報じられている。
台北城市科技大学観光事業系の李奇嶽助教授は、現状を「堂々と食卓で食事ができるはずなのに、物陰で隠れて食べさせているようなものだ」と例え、旅行業界に対する不公平さと、個人客が被る不利益を批判している。禁止令に固執するあまり、実質的な管理が行き届かない現状を是正し、透明性のある監管下に置くことで旅行者の安全を優先すべきだとの声が強まっている。
市場の強い需要を政策で抑え込むのが限界に達している中、台湾当局は「政治的立場」と「国民の生命の安全」の間で、難しい判断を迫られている。産業構造の健全化と、中台観光交流の正常化に向けた議論の再燃は避けられない情勢だ。
[出典]
- 台旅團甘肅翻車事故釀1死 國台辦:助家屬善後事宜(中央通訊社)
- 台灣旅行團甘肅翻車事故1死12傷 觀光署促喜鴻旅行社安排善後(中央通訊社)
- 台灣團甘肅車禍揭「變形團」亂象 專家:禁團令只剩政治宣示意義(聯合新聞網)
- 甘肅台團車禍釀1死12傷 兩岸部門將協助處理善後(東網)
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