台湾で「ゾンビ電子たばこ」学校浸透深刻化 小学生にも拡大、9月に唾液検査導入へ

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ゾンビ電子たばこが学校に浸透

 台湾で新興薬物「エトミデート(依托咪酯)」を混入した、通称「ゾンビ電子たばこ」の学校への浸透が深刻化している。高校生だけでなく小学生にも広がっている実態が明らかとなり、台湾教育省は2026年7月28日、法務省や衛生福祉省、内政省警政署などと連携し、薬物の供給網遮断や予防教育を強化すると発表した。9月から高リスクの生徒を対象に唾液による簡易検査を導入し、薬物使用の早期発見につなげる。

 エトミデートは本来、医療現場で全身麻酔の導入などに使われる薬剤だが、電子たばこのリキッドに混入して吸引する事例が台湾で急増している。使用すると意識がもうろうとなり、身体の震えやけいれん、運動機能の低下などが現れ、ふらつきながら歩く姿がゾンビのように見えることから、「ゾンビ電子たばこ」や「ゾンビカートリッジ」と呼ばれている。

 台湾行政院は2025年11月、エトミデートを第2級薬物から、規制が最も厳しい第1級薬物に引き上げた。教育省は学校への薬物流入を防ぐため、関係省庁と連携した取り締まりや生徒への指導を進めている。

検出件数が1年間で130倍以上に急増

 衛生福祉省食品薬物管理署によると、尿以外の検体からエトミデートが検出された件数は、2023年の22件から2024年1~10月には2905件に増え、1年間で130倍以上に急増した。

 台湾高等検察署の「2026年国内薬物情勢迅速分析年報」によると、2025年にエトミデート関連で摘発された人数は3010人に上った。押収された電子たばこのカートリッジは2646個、電子たばこ用リキッドは1万7540個、総重量は159.7キログラムに達した。

 ゾンビ電子たばこは外見や使用方法が一般的な電子たばこと似ており、若者が警戒せずに使用しやすい。販売業者がインターネットや交流サイトを通じ、「合法」「安全」「ストレスを解消できる」などとうたって販売する事例も確認されている。

 教育省は、若者が電子たばこをきっかけに薬物へ接触する危険性があるとして、学校での予防教育や薬物に関する教材の整備を進めている。人工知能(AI)を活用した教材なども導入し、薬物の外見や健康被害、販売業者の勧誘手口を生徒に周知する。

高校生「同級生がゾンビのように歩いていた」

 台湾紙の聯合報などによると、17歳の男子高校生は高校1年生の時、校内のトイレで初めてゾンビ電子たばこを吸い、その後、使用をやめられなくなった。男子生徒は「校内でゾンビのように歩く同級生を何人も見た」と証言し、学校では約2割の生徒が接触している可能性があるとの見方を示した。

 19歳の男性は、友人から仲間外れにされることを恐れて使用を始めた。その後、薬物を購入する資金を得るため、学校内でゾンビ電子たばこを販売するようになったと証言した。販売先は高校生から中学生へ広がり、最終的には小学生にも流入したという。

 エトミデートを吸引すると、意識障害や身体の震え、激しいけいれん、運動機能の低下などを引き起こす恐れがある。重症の場合は昏睡状態に陥るほか、アルコールや別の薬物と併用すれば、呼吸不全や突然死につながる危険性もある。

台中市警、少年薬物事件32件を摘発

 台中市警察局によると、2026年上半期(1~6月)に学校からの通報を受けて対応した学校関連の治安事件は36件だった。このうち、少年による薬物事件は32件に上った。

 同市警は教育当局と合同で学校周辺の巡回を209回実施した。インターネットカフェや公園、娯楽施設など、青少年が集まりやすい場所を重点的に巡回し、薬物の販売や使用の取り締まりを進めている。

 警察は、学校内で薬物を使用した生徒だけでなく、その背後にいる販売業者や供給網を追跡している。生徒が所持していた薬物の入手先や交流サイト上の販売情報を調べ、学校外から薬物を持ち込む組織の摘発につなげる。

 7月29日夜には、台北市中山区の林森北路で警察官が33歳の男を職務質問した際、男のポケットからエトミデート入りとみられる電子たばこのカートリッジ3個が落下した。警察はさらに覚醒剤3袋を発見し、男を麻薬取締法違反の疑いで台北地方検察署に送致した。

9月から高リスクの生徒に唾液検査

 教育省は2026年9月から、薬物使用の疑いがある高リスクの生徒を対象に、唾液による簡易検査を導入する。従来の尿検査に比べて検体を採取しやすく、短時間で薬物使用の有無を確認できるとしている。

 学校が電子たばこの所持や使用を確認した場合は、学校安全通報制度に基づいて教育当局へ報告する。薬物が含まれている疑いがある場合には警察や衛生当局に通報し、未成年者の場合は保護者にも連絡する。

 薬物使用が確認された生徒には、教育省が進める「春暉プロジェクト」を通じて、専門家による相談や生活指導、薬物依存からの回復支援を行う。単に処罰するのではなく、薬物を使用した背景や家庭環境なども踏まえ、再使用を防ぐための支援を実施する。

 教育省は、学校で確認される薬物事件の多くが校外の供給網につながっていると指摘している。このため、法務省、衛生福祉省、内政省、デジタル発展省などと連携し、インターネット上の違法な販売情報の削除や販売業者の摘発、薬物の供給ルートの追跡を進める。

 教育省は学校への薬物の流入防止を最優先課題と位置付け、関係省庁との連携を強化し、供給網の遮断と生徒への予防教育を進めている。

(2026年7月30日)

(2026年7月30日)


出典

聯合報「毒入校園?台中市警方今年協處36起校園治安事件 查獲32件少年毒品案」
中時新聞網「口袋突掉出喪屍煙彈!警怒指地『這什麼東西?』男耍賴:讓我起來」
台湾教育部「跨部會溯源斷毒、精準防制,建構校園防毒牆」
Yahoo!台湾「國小生也淪陷!高中生怕排擠竟吸喪屍煙彈」

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