中国で続く人民解放軍高層部の大規模な粛清が、台湾への軍事作戦能力に影響する可能性が指摘されている。台湾紙・聯合報によると、米シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)のザック・クーパー上級研究員は、軍最高指揮部の相次ぐ人事刷新について、短期的には人民解放軍が大規模な軍事衝突に備える能力を制約する可能性が高いとの見方を示した。一方、中国軍による台湾周辺での軍事活動は続いており、台湾への圧力そのものが弱まったとは言えない。
中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会は8月28日、張又侠氏を国家中央軍事委員会副主席から、劉振立氏を同委員から解任した。両氏は1月に「重大な規律・法律違反」の疑いで調査対象となっていた。
相次ぐ高官の失脚により、2022年に7人体制で発足した国家中央軍委は習近平主席と張升民副主席の2人だけとなった。中国では党中央軍事委員会と国家中央軍事委員会がほぼ同じ構成で運営されているが、今回正式に解任されたのは両氏の国家中央軍委での職務。党中央軍委での役職については、正式な免職は公表されていない。
台湾有事を想定した大規模作戦にも影響か
米紙ワシントン・ポストが29日報じたところによると、クーパー氏は、習氏が人民解放軍の近代化を進め、大規模な軍事衝突への備えを求める一方、最高指揮部を大幅に入れ替えていることによる影響は避けられないと分析。「短期的には、人民解放軍が大規模な衝突に備える能力を制約する可能性が高い」と指摘した。
米国では、中国軍が2027年までに台湾への軍事行動を実行できる能力の整備を進めているとの見方がある。ただ、中国が公式に掲げる2027年の「建軍100年奮闘目標」は軍の近代化を進める目標で、2027年を台湾への武力行使の期限と定めているわけではない。
自由時報も中国軍高層部の粛清と台湾情勢への影響を取り上げ、実戦経験を持つ高官の排除や指揮系統の再編には時間が必要となるため、短期的には台湾への大規模な武力行使を難しくする要因になり得るとの見方を伝えている。
実戦経験持つ将官も排除
全国政治協商会議(全国政協)は26日、西部戦区司令官を務めた趙宗岐氏の委員資格を取り消した。趙氏は2020年の中国・インド国境衝突時に中国側部隊を指揮しており、中国軍で実戦・衝突対応の経験を持つ上級将官の一人だった。
張氏も1979年の中越戦争に参加した実戦経験を持つ。こうした経験豊富な高級将校の相次ぐ失脚は、台湾への上陸作戦のように陸海空軍など複数の部隊を連携させる大規模な統合作戦を準備する上で影響を及ぼす可能性がある。
米中央情報局(CIA)で中国分析を担当したデニス・ワイルダー氏は、最近の粛清が張氏ら失脚した高官と関係の深い部下にも広がっていると分析。張氏の軍内での影響力が完全に取り除かれるまで、粛清が続く可能性があるとの見方を示している。
台湾周辺での軍事的圧力は継続
ただ、中国軍高層部の混乱が台湾への軍事的圧力の低下に直結しているわけではない。台湾国防部は、中国軍機や軍艦による台湾周辺での活動を連日確認している。
台湾の軍事専門家からも、複数の戦区や軍種を動員する大規模な対台湾作戦には指揮系統の再編が影響する可能性がある一方、軍機や軍艦を継続的に台湾周辺へ派遣する「グレーゾーン」での圧力は維持できるとの見方が出ている。
軍高層部の相次ぐ失脚によって、人民解放軍が台湾への大規模な軍事作戦を準備、指揮する能力に短期的な不確実性が生じる一方、台湾周辺での日常的な軍事活動は引き続き継続している。
(2026年8月31日)
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出典:
對台動武添變數?美學者:習近平1舉動 短期內限制大規模衝突能力
